#59 プロとしての信頼を得るために気をつけていること
これまで、キャリアアドバイザー、法人営業などの対人業務で働いていて、
慣れてないうちは、つい御用聞きになってしまいがちなのですが、それって1人のプロとして最も自分の信頼を失ってしまう行為だなあと思うものです。
いくら若手のビジネスパーソンだろうが、クライアントの意見を言った通り鵜呑みにし、仰せのままに動いているだけでは、
便利屋として可愛がられることはあっても、プロとして信頼してもらえることはありません。
時には相手の意見を否定しつつ、プロとして適切な方向へ軌道修正できる人こそ信頼に値するわけですが、そのために最低限必要な心掛けを書いてみようと思います。
①意見を求められたら、必ず自分のポジションをとる。
対お客様相手に限った話ではありませんが、
「〇〇についてどう思われますか?」と何か意見を求められた際、
「この場合、私はこうするべきだと思います。」と、自分のポジションをとることは、社会人として最低限のマナーです。
ここで曖昧な返事しかできず、どちらの立場にも立たずといった振る舞いを続けてしまうと、
議論・相談をする価値がない人と見なされます。
もし、意表を突かれて判断に迷う質問であっても、
「それは〇〇の情報も併せて検討してみないとまだわかりません。○日後には改めて報告させていただきます。」
と、意見の導き方やスケジュールだけでも明確にし、こちらにボールがあることを相手に伝える必要があります。
お客様は、何かしらの意見を求めたときの返答の様子を見て、
我々の思考の総量や、自信を読み取り、「果たしてこの人は信頼に足りる人間なのか?」を判断します。
適切な場面でハッキリと自分の意見を言えるよう、普段からのトレーニングが大切です。
②ヒアリングの中で相手の思考を整理し、矛盾を指摘する。
特に、キャリアアドバイザーとして働く中でよく感じるのですが、
自身のキャリアに課題を抱えるクライアントの感情や思考には、少なからず矛盾や違和感があることがあります。
この際、「それってこういう点が矛盾しているように思えるのですが、いかがでしょうか?」と、逃げずに突っ込めるかどうかが、キャリアコンサルティングでは非常に重要になります。
早い段階で矛盾を指摘しなければ、相手は「自分の感覚が正しい」と間違った認識を覚えしまい、後々のやり取りにおいてズレが大きくなり、結果的に健全な信頼関係は築けなくなります。
目指すべき関係性は、相手に好かれようが嫌われようがどうでもよく、
「この人の批判であれば納得感があるので、聞いてみる価値があるな。」と思ってもらうことなのです。
③描く未来を、高い解像度で想像させてあげる。
お客様が「こういうことをしたい!」という未来を語ったとき、
その未来の解像度をより上げる視点を与えてあげると、より信頼感が増します。
転職の例でいえば、
「憧れの大手企業に転職し、やりがいをもって働けそう!」という求職者がいたときに、
「環境が変わり、今の慣れ親しんだ人間関係から離れなくてはならない。」
「支店がたくさんある分、異動や転勤の可能性があるかもしれない。」
などといった、相手が気づいていないが実際に起こうるデメリットを提示し、そういったリスクを加味してでも、その決断をしたいと思っているかどうか?を問いかけます。
人間だれしも、現状の環境が当たり前になってしまうと、目の前の幸せに目がいかなくなりがちです。
「この決断をすると、あなたの今享受しているこの幸せは無くなる可能性がありますよ。」と、
客観的視点をプラスしてあげることで、後悔の無い決断の手助けをすることができますし、
また迷った際にも相談に乗ってほしいと思っていただけるようになります。
どれも知識やトレーニングが必要で、一朝一夕で身につくスキルではありませんが、
プロとして働く以上、こうした積み重ねによる信頼を獲得し、介在価値を発揮していきたいものです。