博物館のこと「高山彦九郎記念館」
3月10日 晴れ
高山彦九郎記念館
大学で知り合った親友に導かれた「群馬をめぐる旅」の途中で訪れた資料館。
群馬県なので立地条件がよくわからず(私は埼玉県民)。でも静かなところでした。
「土下座」で有名な高山彦九郎さん。京都に銅像があるようです。私はその像を見たことはないのですが、御所の方向に向かって土下座している(ように見える)といいます。なんで土下座なの、と思いましたが、どうもこれは土下座してるわけではないそうです。御所の方向を向いて「拝んでいる」状態が正しい表現なんだとか。
ほら、土下座って両の手のひらを地につけて、額も地につけてる状態を言うじゃないですか。京都にある彦九郎さんの銅像は「顔が上がってる」から、厳密に言うと土下座じゃないと私は思うのです。本物は見たことないのですが。
入ってすぐに彦九郎さんの全体像が。像だけ見ると小柄な人。私よりはデカい。職員の方が簡単に説明してくれまして、儒学者だったとか、晩年まで地方に足を運んでたとか、日記を毎日つけてただとか。わかりやすく教えてくれました。
資料は入ってすぐのところに置いてあって(ショーケース)、続く廊下には彦九郎さんの年表+没後の「彼に対する研究」が、びっちり展示されてました。
年表は年齢別に代表的なものが並んでいましたが、濃いところは濃く、強調するべきところはきちんと書いてある。27歳で家を出て九州(久留米)で自刃するまでのことと、没後(40代後半)の研究。なので年表も長いものになってます。祖母が亡くなったときに3年喪に服したのも、なにか彼を動かすモノがあったんだろうなと。
「本人は特になにかしたわけではないが、実はすごい人」というのがひしひしと……西郷隆盛や坂本龍馬みたいに「俺が日本を動かした!」というよりは「前身」を作ったような人で、でも影響は大いにあったそうですね。交流のある人も名だたる人たちばっかりで驚きました。職員の方いわく「著名人だけじゃなくて、よくしてくれた一般の方の名前もきっちり記録してた」んですって。すごいことですよね。
旅の道具もそのまま(かな?)残ってて、27歳から40後半で亡くなるまで彦九郎さんのお側で役に立ってたと思うと胸熱です。これは大変貴重な資料です。
晩年を過ごした久留米のお屋敷も再現されてて、ここで自刃したというのも、映像で紹介がありました。どうも腹を切ったあとも意識は残ってたそうで、お屋敷の主(森嘉膳さん)と来客などといろいろ話をしてから亡くなったそうですが、自分で腹を切ってるわけだから相当痛かったんだろうな…
腹切りした理由も不明、謎に満ちた人生が気になります。
水盤で破った日記以外はすべて残ってることも驚きでしたし「なにか成し遂げた」わけじゃないのに、こんなにすごい扱いをされてるというのも驚きでした。ほら、「日本を動かすほどのコトをやった」って人なら銅像建つとか没後に研究されるとかするのもわかるんですが、彦九郎さんは「特になかしたわけではない(実は目立たないだけで、なにかしてたのかもしれないが)」わけで……人柄のよさと、彼が残したモノを後世に残そうとする人の意志が伝わってくる資料館でした。
そうそう、27歳から書き留めた日記の全貌を紹介するコーナーに、音声と映像だったかな、案内がありまして。
壁面に表示された年表の番号と一致する番号のボタンを押すと、日記の概要がわかるというものです。解説文だけで見るよりもわかりやすいかもしれません。身障者にも優しい展示というのはこういうのをいうんだなと。こういうのを言うんだと思ってます。
バックの音はともかく、映像を一緒に流してくれると理解も早くなって助かるんですよね。
だだっ広い敷地じゃなくても、こぢんまりしてて、ぎゅっと詰め込んだ感じの資料館は好きです。