読書の秋に季節が合わない好きな本について語る。
こんにちは潤木です。好きな本について話がしたいです!
※タグに記載されている著書のネタバレが含まれてしまいます。ご注意ください。あと、私はミステリーをよく読むわけでもなければ、解説のつもりで書いているものではないので、ご容赦ください。とても個人の感想です。
今回話していくのは『夏と冬の奏鳴曲』(麻耶雄嵩さん作)です。
この本は最近新装改訂版が出て、ぜひともこの記事を閉じて買いに行って読んでいただきたいです。
まずどこで知ったのか
大学の講義で知りました。教授が好きだったミステリーで、話を聞いてるうちによみたくなったのが出会いですね。教授はミステリーとして紹介するのは憚られるが好きとおっしゃってたと思います。
気になってから調べてみたら、まず、書店に並んでいなかった。そのため図書館とかのお世話になりました。古本屋で見つけたのは結構後のことで、最近では新装版まで出ていて、友人に勧めたのも記憶に新しいです。
なぜ読もうと思ったか
雪の中に首無し死体で、しかも夏ということに、気にならないわけがなくて、もうどういうことなのと読むしかないと思いました。インパクトが強い。
あと、探偵役の烏有と桐璃のような二人組が好きだという所です。魅力的に関係性が多いものは見ているだけでも、楽しくなります。
烏有と桐璃
探偵役の二人組の関係性が、付き合っていないけれど、「相手のことに付き合う」や「無理やり付き合わされるが嫌と言いつつも一緒にいる」みたいなのが、とても微笑ましくて好きです。この関係が継続しても、恋人に進展してもいいなってなりつつ読んでいました。
最終的には桐璃が二人になるという衝撃的なことがありましたが…。
さて、主人公の烏有は、烏有に帰すの烏有、如月という苗字、まず、変わった名前だなと思いました。主人公の彼は、彼に期待を持ちつつもどこか危うい面が多く、心配になる青年です。とても魅力的ですね。
烏有は桐璃の保護者として、この物語の探偵役としているが、性格や生い立ちの面において危ういということが、ある意味ひやひやワクワクします。私の中にない価値観で、行動の理由がたまに理解できない面は楽しさの一つでした。
本の終盤、2人の桐璃を選ぶ場面において、いったんは片目が欠けた桐璃を選ぶものの、結局は両目の桐璃を選びます。
ここは彼の中に桐璃の偶像が出来上がって、片目がないことが自分の中の彼女と会わなかったから、答えを変えたように見えました。何かにすがらないと自立できない彼の危うさが感じられます。私にはわからない感覚でした。
今までの記憶に頼るのであれば答えは変わらなかったのに、彼の危うさ故にこういう結末になったと思うとほんと面白いとしか言えなかったです。理解ができないとはこのことだなと、彼のことを見返したくなりました。
読み返して新発見
この本が好きと言いつつ、最近気づいたこと。この本の英名です。『PARZIVAL』って書いてあるのに全然見えてなかった。
「夏と冬の奏鳴曲」が作品内の映画タイトルであった。この映画は烏有の過去(主体)を思い出ささせるような内容だった。『PARZIVAL』も神父がいったように烏有を客観的に見た内容だと考えると対になっていておお、ってなりました。完全な見落としでした。
上記のように何度も読んでるのに見落としが出てくる。謎を解くのに必要な個所が前回だと意識して読んでいないなど、丁寧に読まなければ理解できないことがたくさんあります。
私は本でもゲームでも先が見えてしまうと自分の中で答えを作ってしまうので、読むのをやめてしまったり、ラスボスを倒さずに終わことが多いんです。なので、この本はとてもたくさん読んで理解する過程が多くて、多くの時間を費やした気がします。
そういった解く、納得する、新たな見方が出てくるものが、自分に合っていたように感じます。その意味で本当に楽しい本でした。
最後に
首無し死体から気になったこの小説に引き込まれ、何度も読んでしまうこの気持ちをどこかに書きたくて書かせていただきました。あまりうまく語れなかったかもしれないですし、語りきれない内容ですが、共感してくれる方がいれば嬉しいです。
#読書の秋2021 #夏と冬の奏鳴曲