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無意識の能力

はじめに

子供の学歴において、早期に学習させることより、身体を動かし、心と身体の成長が重要であるとシュタイナー教育では教えられる。だから、シュタイナー教育ではオイリュトミーと言われる音楽に合わせて体を動かしながら聴覚やリズム感覚、身体全体で学習する授業が取り入れられている。
なぜ身体を動かす方がよいのか、なぜ授業で取り入れられているのかについて、今回は考察する。

AIにおける学習と問題

まずは人間の脳の働きと類似しているAIの研究で出た問題を調べてみた。
AIが学習していく上で起きた問題で、モラベックのパラドックスという問題がある。

モラベックのパラドックスとは、AIやロボットが高度な推論よりも感覚や運動のスキルを身につける方が難しいという現象である。1980年代に研究者たちが発見し、コンピュータが知能テストやゲームをするより、1歳児の感覚や運動スキルを持つことのほうが難しいのである。
AIの学習の上で起きた問題だが、これは人間にも起こり得る問題である。

AI初期の誤解

さらにAIの学習について調べると、ロドニー・ブルックスは、初期のAI研究について、高等教育を受けた男性科学者にとって挑戦に値する事柄(チェス、記号積分、数学定理の証明、代数学の複雑な文章問題を解くことなど)が知能を最も発揮するという考え方があったと説明している。
だから、4、5歳の子どもが簡単にできること、例えば物を見分ける、歩く、道を見つけることは、知能を使う活動とは考えられてなく重要視されていなかった述べている。

実は簡単に思われていることの方が、AIにとって再現するのは難しいのである。人間は難しいことを簡単にやっているのだ。

更に難しいのは

マービン・ミンスキーは、最も解明が難しい人間のスキルは「無意識」だと強調している。ミンスキーは「一般に我々は、我々の精神が最も得意なことについて最も気付いていない」とし、「我々は完璧に働く複雑な過程よりもうまく機能しない簡単な過程の方をよく知っている」と続けている。

無意識で行動することは、経験や感などさまざま要素が重なりあってできる事であり、無自覚なのである。意識することより無意識の方が難しいとは考えてもみなかった。

まとめ

無意識は無自覚だから、意識のことばかり取り上げられてしまう。無自覚できる行動や運動をする能力が本当は1番大切なのである。だからこそ、4、5歳の子どもが簡単にできることに注視する必要がある。オイリュトミーや運動。もっと幼い場合は、指先の運動などが重要視されるのは、身体を動かすことで脳が活性化していき、シナプスやニューロンが増加するからである。
公園で遊ぶことも難しく、山や川で遊ぶ自然もすくない。子供が子供らしく遊ぶことが、無自覚で能力を鍛えることに繋がるとは皮肉なものだ。

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