見出し画像

つながり活動 〜 貴婦人とつながる 〜


娘は中学2年生で、中学校のサッカー部に所属している。

昨日は先輩達の最後の公式戦だったので、

とある中学校までサッカーの試合を見に行った。

中学校3年生の親御さん達がたくさん見に来られていて、

娘の先輩の親御さんたちはとても丁寧に、

「 今日はわざわざ試合を見に来てくださってありがとうございます! 」

と挨拶をしてくださる。

こちらも勝利を願いながら一緒に応援する気持ちを伝える。

コロナ禍ということもあり、なるべく静かに観戦はするのだが、

1点リードされた状態で後半戦に突入すると、

自然に体が力んでしまう。

なかなか点数が入らず、

審判にも見放されているのか、

なかなか相手の反則に笛を鳴らしてもらえない。

試合中は審判が絶対なので、もちろん文句は言えない。

嫌なムードのまま、後半も残り10分ほどとなった。

その時、相手チームの選手が明らかに足を引っ掛けたように見えるプレーがあった。

しかし審判は、

何も反応しない。

「 え〜〜っ 」

と、応援席から声が少し漏れ始める。

すると、

ヒラヒラがついた白いブラウスに黒いズボンで、サングラスに日傘をした貴婦人が、

観戦している場所から一歩前に出る。

次の瞬間、


「 こら〜っ、審判何やっとんじゃ〜、ええ加減反則とらんか〜〜〜!!」


と大声で叫び出したのだ。


「 え〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ 」


と、私は心の中で叫んだ。

中学にもなる子供のクラブの試合で、

親がそんなことを口走ってしまうことへの驚きと、

サングラスに日傘の貴婦人の清楚な雰囲気と、

貴婦人の口からでた叫び声の荒々しさとのギャップに、

ちょっとドキッとしている自分がいた。


残念ながら、試合は負けてしまった。

親御さんたちもしんみりした雰囲気になってしまったが、

子供達の頑張りをみんなが讃えていた。

叫び声を上げたサングラスに日傘の貴婦人も、

「 でも、みんなよく頑張ったわよね〜 」

と、何事もなかったように他の親御さん達と会話をしていたし、

誰も、先程の叫び声について触れることもなかった。


私1人だけが、

あの急な変貌ぶりに対する余韻に浸っていた。

「 もしかして、私が作り出した妄想なのか?? 」

としばらく考えたが、

どう考えても目の前で起こった出来事であり、

その叫び声の後、

しばらくその場が静まり返っていたことは、

そこに居るすべての人が共有しているはずである。


「 貴婦人とつながる 」。

確かに、貴婦人の一言は、

表現の仕方はよくないのではないかと思うのだが、

その周りにいた親御さんみんなが思っていたことを

代弁してくれた形になっていたとは思う。

結果は残念であったし、審判の判断も変わらなかったのだが、

確実に、

「 私の心は、あなたの叫び声に影響を受けています 」

と、

私が叫びたい気持ちであった。



日傘の貴婦人は、

「 今から新幹線に乗って旅行なの! 」

と、

すでに気持ちを切り替えて、

その場を後にされていた。



やっぱり、

私が見た貴婦人は、

私の妄想だったのだろうか。


もう貴婦人の支配下にある私







この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?