♡今日のひと言♡寺山修司(改訂) 289 福田尚弘 2024年11月19日 23:15 Let us not look back,as lights are out,all gone outexcept in the future『さらばハイセイコー』(1974)寺山修司(1935‐1983~青森・歌人、詩人、劇作家、演出家、映画監督)俳句を中心として文学活動を始め、短歌に転じて1950年代後半には前衛短歌の代表的歌人となった。1960年頃より演劇に進み、1967年には横尾忠則らと劇団「天井桟敷」を結成し、市街劇など多彩な実験演劇を展開した。代表作は、放送劇「山姥」(1964)、戯曲「毛皮のマリー」(1967)、叙事詩「地獄篇」(1974)、映画「田園に死す」(1974)など。「さらばハイセイコー」ふりむくと一人の騎手が立っているかつてハイセイコーとともにレースに出走し敗れて暗い日曜の夜を家族と口をきかずに過ごした ふりむくと一人の新聞売り子が立っている彼の机の引き出しにはハイセイコーのはずれ馬券が今も入っている ふりむくと一人の少年工が立っている彼はハイセイコーが勝つたびうれしくてカレーライスを三杯も食べた ふりむくと一人の失業者が立っている彼はハイセイコーの馬券の配当で病気の妻に手鏡を買ってやった ふりむくと一人の足の悪い車椅子の少女がいる彼女はテレビのハイセイコーを見て走ることの美しさを知った ふりむくと一人の酒場の女が立っている彼女は五月二十七日のダービーの夜に男に捨てられた ふりむくと一人の親不孝な運転手が立っている彼はハイセイコーの配当でおふくろをハワイへ連れていってやると言いながらとうとう約束を果たすことができなかった ふりむくと一人の受験生が立っている彼はハイセイコーから挫折のない人生はないと教えられた ふりむくなふりむくな後ろには夢がない ハイセイコーがいなくなっても全てのレースが終わるわけじゃない 人生という名の競馬場には次のレースをまちかまえている百万頭の名もないハイセイコーの群れが朝焼けの中で追い切りをしている地響きが聞こえてくる2024.11.19Planet Earth ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! 日頃からのサポートにつき、深く御礼申し上げます。 チップで応援する #詩 #人生 #現代詩 #過去 #希望 #寺山修司 #ハイセイコー #過去完了 289