<参考>
最後の抜粋箇所は、読解しづらい部分かと思います。また、本編においての解釈も様々かと思います。個人的なとらえ方としては、以下です。
・十指の指差すところ、十目の見るところの、いかなる弁明も成立しない醜態を、君はまだ避けているようですね。
→「君は臆病やプライドに邪魔されて、冷めたポーズをとることで大切なことから逃げているようですね。」
さらに、聖書からの引用部分は特に読みづらいのですが、ざっくりと言い換えると、以下のようなことかと思われます。
・「身を殺して霊魂をころし得ぬ者どもを懼るな、身と霊魂とをゲヘナにて滅し得る者をおそれよ」
→「あなたの体を殺すことができても、あなたの魂を殺せない者(迫害者)などおそれることはありません。体だけでなく、魂をもさばくことができる者(神)をおそれなさい。」
太宰治(1909―1948~青森・小説家)
津軽屈指の大地主の六男として生まれた。中学時代から文学に親しみ、井伏鱒二に師事。左翼活動での挫折のあと雑誌「海豹」「日本浪曼派」に作品を発表、「逆行」(1938)が芥川賞候補となる。戦後は無頼派と呼ばれ「ヴィヨンの妻」(1947)「斜陽」(1947)などで人気を博した。玉川上水で入水自殺した。享年40歳。自己破滅型の私小説作家であった。他に「走れメロス」(1940)「人間失格」(1948)など。