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俳句

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2021年9月の記事一覧

俳句 さみしい花

「仰ぎ見る 色淡くして 花紫苑」

背の高い紫苑の花は、その高さ故寂しいと

捉えた作品が有りました。私はその草丈より、

はかなげな淡い色にこそ{さびしさ}を

覚えるのです。

俳句 大先輩

「秋の字の 雅号麗し 老師範」

イケバナの先輩に{秋紅}の号を持つ方が

おられます。確かあの方は勅使河原蒼風

先生の門下。すると家元から直々に頂いた、

雅号でしょうか?

秋で紅とは、誠に心憎い雅号です。

俳句 新涼

「新涼の 籠には何を 生けようか」

ようやく涼しくなって来ました。

にわかにイケバナの創作意欲も、湧いています。

お気に入りの籠を出して来ました。どんな作品を

作るか、思案中です。

次々と秋の花が浮かびます。さて仕上がりは如何に?

俳句 雨

「一人いて 秋の雨聴く 四畳半」

お弟子さんの稽古の合間、静かに座っていたら

雨の音が聴こえました。

「あ~こうして、心まで洗われて行く」と実感し、

我ながら美しい思いにとらわれました。

「先生こんにちわ」水屋から元気な男性の声が

しました。静かな時は終わりました。

俳句 すすき

「すすきの穂 未だ開かぬか 昨日今日」

薄も花穂が開かぬうちは、つんと澄まして

立っている様です。それが穂が開き風に揺れると、

優しい姿に変わります。

秋の風情は、ここにも有るのです。

俳句 上空

「鱗雲 ヘリコプターの 音の上」

ヘリコプターの激しい音がしたので、

空を見上げました。自衛隊の輸送でしょうか?

二機連なっていたので、音が凄かったのでした。

その上空に美しい鱗雲、空の青さを引き立てて

いました。

俳句 大徳寺

「掛け軸の 露の文字良し 大徳寺」

大徳寺山内、塔頭寺院での茶会です。床の間に掛けられた、

大きな横物。伺えばこちらの開山老師の筆とか!

はかない筈の露の字が、大きく立派に書かれていました。

表具も{うぶ}のままで、古色が漂いました。

俳句 秋の茶席

「年下の 先客ばかり 秋の席」

長い時間待って、ようやく入った広間の席。

亭主から「大川さん、上の座空けてあるから

お願いしますよ」と声を掛けられました。

見渡すと珍しい事に、若い方の多い席でした。

「まぁ私よりお姉さんが居ない、珍しい茶席!

とてもうれしいな~」若い方々の緊張を解く

一言を発しました。

俳句 大空

「秋の雲 空に模様を 織りなして」

空を見上げ、雲を見るのが好きな私。

大空を舞台に、雲が壮大な文様を作ります。

しばらくその美しさに見とれていました。

地上の様々な苦悩を、一瞬忘れる事が出来ました。

俳句 墓参

俳句 墓参

「秋の雲 墓参は一人 ただひとり」

月の半ばに両親・祖父母の命日が集中しています。

それで毎月15日前後に、墓参に行きます。

毎月一人でお参りして、近況を報告します。

隣に住む兄は、一年に一度?位しか行きません。

思いの違いと従兄弟に嘆いたら「それは貴方の

方が、断然可愛がられていたから・・」

もしかしたら複雑な思いを、胸に抱いているのかも

知れません。

「おや、又一人かい?」祖

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俳句 萩

「染帯の 萩の二枝 揺れるごと」

社中の一人は、染帯が大好き。色々な技法・

柄・色・の品を、持っています。

今日のは、濃紺に淡い桃色の窓をぬき、その中に

萩が墨書で描かれています。

彼女が何か動作をする度に、その枝が揺れ動いて

いました。

俳句 遠い思い出

「月はるか 初恋遥か 星はるか」

十代初めの初恋、ようやく思い出せる様な

遠い・遥かな記憶となりました。

こんな風に美しく・はかない思い出は、

少しづつ消えて行くのかもしれません。

俳句 向う側

「対岸は 曇りしままや 秋の風」

青い空に、雲は確実に動いています。

しかし海の向こう側は、どうやら曇った

ままの様です。しかし薄い雲なので、

いくらか太陽の光が差し込みます。

神々しいまでの、美しい情景でした。

俳句 虫三種

「こほろぎや いつもの夜を 迎えたり」

いつもの通り本を開くと、かすかな虫の音が。

秋をしみじみ感じる一時です。

夜長の楽しみは、いくつも有るのをご存じですか?

「鈴虫は 誰に飼われて 鳴くのやら」

友人のマンションを尋ねると、虫の声が

聴こえました。{隣のベランダから}友人の

説明です。風流人が、こんな所にも!

「その木陰 松虫確か いるらしき」

松の木の下あたりから、鳴き声が

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