新型コロナウイルスは中国の陰謀なのか?
ご無沙汰しています、URAKOMEです。
みなさまコロナ自粛で鬱々とされている方も多いのではないでしょうか?
具体的な感染症対策に関しては、すでに厚労省他、国から示されている通りやるべきことはやっておくに越したことはないでしょう。
本記事では、時々話題になる新型コロナウイルスが中国の研究所で作られたものなのかどうか、ということについて私見を交えて書いていきたいと思います。
陰謀論は新しいウイルスが出現すると必ず議論になるので、この機会にURAKOMEの考えをざっくり書いてみたいと思います。
陰謀論を唱える人は手法論に言及しているか?
テレビやSNSなどで中国武漢の研究所から新型コロナウイルスが漏れ出た、もしくは開発していた等のニュースが流れていました。
米国トランプ大統領も証拠をつかんでいるとの旨を述べていました。
多くの専門家(少なくともウイルス学の)ではない方々が、おっしゃっている文面を拝見するとその手法論には言及しているものはほとんどありません。
おそらく、具体的にどのようにしたと思いますか?と尋ねても、それが国家機密や防衛に関連するから、という理由で言及を避けるのだと思います。
しかしながら、書きっぷりを見ているとそういう方の多くは実際のところ手法をご存知ないのだと思います。
少し言い方は悪いですが、感情論的なものがほとんどです。
実際のところ、人工的に作製したコロナウイルスでパンデミックを起こすことは現存する技術では極めて難しいと思います。
いくつかの理由を以下に述べます。
1. コロナウイルスが人でパンデミックを起こすファクター(因子)が知られていない。
2. コロナウイルスは生物兵器として有効ではない。
3. コロナウイルスの人工合成は難しい。
ことがまず挙げられるでしょう。
パンデミック(世界流行)を起こすウイルスを作ることはできるのか?
これがまず難しいです。なぜなら、人で感染しやすいコロナウイルスの因子がわかっていないからです。
今の科学技術をもってすれば、コロナウイルスの遺伝子はすぐに解析され、遺伝情報であれば誰でもすぐにわかってしまいます。
そうすると誰でも簡単にできるのでは?と思いますが、実は遺伝子の情報を知っただけではダメなのです。
ウイルスに人工的に変異を入れると大体が死んでしまう or うまく増えられなくなります。
人の中でどういう変異を持つコロナウイルスが増えるかという決定因子はわかっていません。
コロナウイルスと一言に言っても、様々な種類のコロナウイルスがあるため一様ではありませんので、極めて難しい。
決定因子を調べることはとんでもなく大変な研究になるし、そんな大変なものをわざわざ時間とお金をかけて作ったとしても、うまくできるかわかりまえん。
おまけに、できたとしてもコロナウイルスのように強い病気を起こさないウイルスを作るメリットがあまりないわけです(詳細は次の項を参照)。
新型コロナウイルスは生物兵器として有効か?
病気としての強さを考えると、現時点での死亡率は1%を下回り、いわゆるエボラウイルス等の致死率の高い恐怖のウイルスとはほど遠い、というのが現実です。
横綱級のウイルスではない、と言ったiPS細胞の偉い先生が炎上していました。
要するに、新型コロナウイルスは致死率・死亡者数で言えば幕下級、エボラウイルス・インフルエンザウイルス等の横綱級のウイルスには及ばない、ということです。
実際に志村けんさんなどの著名人も亡くなってよく報道されているため、新型コロナウイルスはとても恐ろしいウイルスであると感じるのは理解できます。
しかしながら、実際にその先生がおっしゃっているのは的を得ていて、一般的に考えられているほどすごく強い症状を起こすものではないと思います。
実際に亡くなっている方も、50代以上の方が多く、年齢が上がるにつれてその数も増していきます。
また、糖尿病などの基礎疾患があるとリスクは高まりますが、若い人は顕著な症状なく治っている方がほとんどだと考えられます。
むしろ、特効薬やワクチンがあるにも関わらず毎年インフルエンザおよび関連疾患で亡くなる人の方が多いということは、あまり報道で出てこない(or 知らない)だけで身近で起こっている現実です。
そう考えると、インフルエンザウイルスの方が怖いと思うのは普通のことと思います。
このように新型コロナウイルスは、人を死に至らしめる効果としては有効ではありません。
ただし、人をパニックに陥れて社会機能を停止させるという意味では有効でしょう。
最近自粛警察という言葉が流行っていますが、彼らのように危険なウイルスが蔓延していると恐怖を感じることで、普段しないような過剰な反応をするのを利用して社会機能をおかしくしていくのは生物兵器の本当の怖さです。
恐怖はウイルスより早く感染しますので。
あと、英語を和訳した「新型 (novel)」という言葉も皆さんを誤解させているように思います。
多くの方がその意味を理解されている反面、全く新しいウイルスが出現してどう対策したら良いのか世界が奔走している、と本気で考えられている方もおられるのも事実です。
しかし、コロナウイルスとわかった時点で全く新しいウイルスではありませんし、実際に20年ほど前に中国で出現したSARS-CoV-1と類似したウイルスということで早急に対応できた部分も多いです。
専門家たちも以前の経験から学習してより良い対策を講じていると思います。
コロナウイルスの人工合成はできるのか?
リバースジェネティクスという手法があります。
この手法を使えば遺伝情報(遺伝子配列)から人工的にウイルスを作り出すことができます。
様々なウイルスでリバースジェネティクスが確立されていますが、コロナウイルスはインフルエンザウイルスなど他のウイルスと比べて難しいです。
それは遺伝子がRNAウイルスの中で一番大きく30kbp(30000塩基)を超えるからです。
生物の遺伝子を調べている方からすると、かなり小さいので簡単そうに見えますが、ウイルスの中では大きいものですので難しくなります。
とはいうものの、すでにSARS-CoV-2のリバースジェネティクスは確立されていますので、頑張れば割とできるとは思いますが、わざわざやりづらいウイルスで人工合成するより簡単なものでやったほうが効率的なように思います。
世界中で本気で頑張ればこんな早くできるんだなと少し驚いています。
まとめると、時間とお金を使って新しいコロナウイルスを作るメリットがない、ということです。
恐怖は、ウイルスより早く感染する。
米国の映画「コンテイジョン」の表題に記載されている文言です。
言い回しが面白くもあり、実際を反映しており非常に深い意味があるキャッチフレーズだと思いました。
科学的にはウイルスというのは意思をもって動くわけではなく、受動的な動きをします。
パンデミックはウイルスが悪さをする、というよりも何らかの因果関係の結果引き起こされる事象であるということです。
つまるところ、ウイルス自体の動態としてはシンプルなわけです。
しかしながら、人は見えない恐怖が起きると普段しないような行動をします。
感情というのはとても複雑だからです。
科学的な思考を持つことで落ち着いて生活ができるようになるでしょう。
今の日本人には科学リテラシーが足りていないように思うので、そういった教育をおろそかにしない未来になっていけばいいなと願っています。
もやもやする自粛期間、少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
Merci.