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Chapter7「インドの交通事情」

ここでちょっとインドの交通事情について触れたい。


インドの道路は戦場だ。


それぞれ自己主張の強いドライバーが、1秒・1センチを争って先を急ぐ。

日本のように車線を守る意識がないのか、車と車の間に1台分の隙ができると、インドのドライバーはすかさずクラクションを鳴らしながら割り込んでいく。

なので二車線でも平気で3台から4台の車が走っている。

追い越す時もプップップーとクラクションを鳴らすので、インドの道路はとにかくやかましい。


それに加え、インドの道路では車以外のものもそれぞれの自己主張をしながら走っている。


一番多いのがリキシャーだ。

リキシャーとは日本の「人力車」が語源の三輪の乗り物で、現在ではエンジン付きのオートリキシャーが主流だが、一部で人力でペダルを漕いで進むサイクルリキシャーも残っている。



さらに、インドの道路の影の主役が牛だ。

牛と言っても日本人が想像するような牛ではなく、背中に多きなこぶを持ち、皮膚は垂れているので、お世辞にもうまそうではない。

もっとも、インド人(ヒンドゥー教徒)にとって牛はとても神聖な動物なので、食卓に牛がのることはない。

マクドナルドの肉もインドではチキンだ。

かといって街中にいる牛(ほんとにどこにでもいる)が丁重な扱いを受けているわけではないのだが、牛を殺すことはご法度なので、インドには牛が溢れている。

一説では、世界中の牛の半分がインドにいるらしい。


煙たいのに動こうとしない牛


話は戻るが、いま僕らは政府観光局の運転手の白いワゴン車に乗っている。

高速道路でジャイプールに向かっているわけだが、僕は後部座席の右側に座っていたので、運転手が前の車を追い越すたびに悲鳴をあげるはめになった。


「うぉーーー」

「!!・・・・・・」

ものすごいスピードで車と車の間に突っ込んでいくので、僕の隣2センチぐらいを車が置き去りにされていく。


さらに僕の肝をつぶしたのは、1時間ぐらい走ったところで車が高速道路を逆走してきたのである。


あやうく正面衝突しそうになった。

なにせお互いすごいスピードで走っているので、すれ違ったのは一瞬の出来事だった。


「あり得ねぇ・・・」


隣には中央分離帯を隔てて対向車線があるのである。

彼は何を思って逆走してきたのだろうか・・・。



僕らは高速道路を走る牛や象やランニング中の人などに興味津々だったが、運転手は逆走してきた車についても

「crazy」

と言っただけでさほど驚いていない様子だった。

無事にジャイプールに着くのだろうか・・・。

⇒ Chapter8「運転手の村」

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