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行動を規律するセルフイメージ

自分自身の行動パターンや習慣について、不満に思っていることはありませんか。
また、自分には生涯できないだろうと思っていることはありませんか。
そのような自己認識、つまりセルフイメージが自分の人生に大いに影響を与えているものであるとすれば、どのように感じるでしょうか。
実はこのセルフイメージを正しく認識し、変えていく方法を知ることで、自分の行動をも変えていくことができます。
今回はこのセルフイメージについて考えていきます。

本当の自分は存在しない

進路や就職の際に、「自分探し」という言葉をよく聞きます。
これは自分がどういった人間であるのか、何が得意で何が苦手か、改めて客観的に見つめなおす作業です。
このとき、「やりたいことがわからない」「本当の自分は何なんだろう」と悩む声がよく聞かれます。
これは大きな勘違いで、本当の自分など存在しないのだと思います。
別の表現をすると、「自分はこういう人間だ」というセルフイメージがあるだけで、これは時間と経験によって常に変動しているのです。
常に変動しているということは、やり方によっては意識的に変えていくこともできるはずです。

セルフイメージが行動を律する

このセルフイメージが人生に与える影響は甚大です。
勉強、仕事、スポーツ、恋愛にいたるまで、すべての行動原理はセルフイメージに支配されているといっても過言ではありません。
数学に苦手意識を持っている生徒が楽しくテスト勉強に励めるでしょうか。
野球に触れたことがない人がプロ野球選手の球を本気でスイングできるでしょうか。

「これまでの経験から傾向を読み取り、未来を予測すること」
これを帰納法といいます。
これまで数学のテストではほとんど赤点だった人は、次のテストでも赤点を取る確率は高いでしょう。
これまで野球をやったことない人が、プロ野球選手の剛速球を打ち返せる確率は低いでしょう。

このように、これまでの経験から導かれるセルフイメージは簡単に未来を予測させます。
勝率が高い場合はわくわくし、逆に低い場合は憂鬱になるのです。
このようにセルフイメージは自分の行動に影響を与えます。

プラスのサイクルとマイナスのサイクル

よく耳にする例として、成功体験の法則があります。
ひとつの成功体験によって小さな自信が形成され、その自信によって行動意欲が湧き、次の成功体験を生み出していく。
このようなプラスのサイクルによってやがては大きな自信につながり、人生で大きなことを成し遂げていくことができるのです。

逆に、マイナスの場合はどうでしょうか。
ひとつの失敗体験によって自信を失い、それによって次の行動をおこすことが怖くなり、それが行動できないという失敗体験を生み出す。
マイナスのサイクルによってどんどん自信を失い、自分という人間が根本的に他者より劣って見えてしまうのです。

マイナスのサイクルを抜け出す

現在自分がプラスのサイクルを回し、人生が順風満帆である場合はそれでよいでしょう。
そのまま成功体験を積み重ね、成長を続けていくべきです。
しかし、マイナスのサイクルにはまってしまっている場合はどうすればよいのでしょうか。

それは、「セルフイメージを形成している過去の経験を認識すること」です。

恋愛を例に挙げてみましょう。
「自分は恋愛に向いていない」と考えている人は一定数います。
そのセルフイメージを形成している過去の経験は何でしょうか。
おそらく、過去に恋愛で失敗した場合か、そもそも恋愛が未経験の場合の2択だと考えられます。

過去に失敗をした、未経験である、という過去の経験則からこれから頑張っても失敗する可能性が高い。
このような心理によって行動するハードルが高くなってしまうのは前述の通りです。
とくに人間関係におけるリスクは一段と敬遠されがちです。

しかしそのような失敗経験は本当に自分に原因があったのでしょうか。
たまたま運が悪かったとか、外的要因の可能性はないのでしょうか。
人の記憶は良かったことよりも、悪かったことの方が強烈に残る傾向があります。
これは動物としてのリスクマネジメント能力の一部だと考えられます。
つまり、失敗経験の要因が自分以外にあったとしても、セルフイメージの悪化につながることは十分にありうるのです。

今回は大丈夫だと思い込む

過去の強烈な失敗が脳裏に浮かぶかもしれません。
ですがそれは自分のせいではなく、今回はうまくいくかもしれません。
事態を好転させてプラスのサイクルに変えていくためには、最初の行動が必須なのです。

何ごとも初めてチャレンジすることには不安がつきものです。
そもそも実績がないので自信がないというのは当たり前です。
そのような状況で最初の一歩を踏み出すためには、思い込みしかありません。

「今回は大丈夫だ」
「きっとうまくいく」

このように自己暗示をかけるように何が何でも一歩を踏み出すのです。
それで成功した場合、初めての成功体験になります。
さらに、初めてのチャレンジに成功したという成功体験にもなるので、次に初めてチャレンジすることに対しても自信になります。

このように初めの一歩をなんとか踏み出すことができれば、実績を作り出し、初めてセルフイメージを改善することができます。

まずはセルフイメージを認識しよう

これまで述べてきたように、セルフイメージは行動を規律します。
得意分野では積極的に行動し、苦手分野では消極的になります。
この原理を逆手にとり、セルフイメージを意識的に変えることで、行動を変えることができるのです。
行動を変えて、習慣を改善させる。
このことを実現するためには、まずはセルフイメージを正しく認識することが必要です。

正しい自己理解によって正しいアプローチが可能となるのです。

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