書かずに生きられるなら、それでも良かった
「書くことが得意でいいね」
「才能があっていいね」
そう誰かに言われるたび、そんなことないよ、と思ってきた。そもそも才能があるとは思っていないのだけれど、そういう意味ではなくて、そんなことないよ、と思う。
このびゅうびゅうと吹きすさぶ冷たい風のような孤独感が、もしそうわたしに言うあなたにないのなら、その方が、きっとずっと幸せだよ。そう思う。
もし、そんな孤独感を抱えているのに、どんな表現手段も持っていないのなら、あなたがどうやって生きられているのか、わたしに教えて欲しい。
言葉に吐き出してようやく生きていられるわたしは、このまま生きていかねばならないことに絶望を覚えることも多い。
どうやって生きていけばいいのかわからずに、誰かに縋りたくなることも多い。
でも、それは相手に負担を与えるからと、飲み込んでいることだって。
ただ生きる。それだけのことがこんなにも苦しくて、こんなにも寂しくて、こんなにも辛くて悲しくなる。こんな自分と引き換えにものが書けているのだとしたら、果たしてこれは幸せといえるのだろうか。
書けなくていいから、もっと軽やかに生きられる方が、何倍も幸せだったのではないか。
そう思うことは多い。
今日も、わたしは生きるために言葉を吐く。
この暴風雨のような孤独が襲ってくる中で、自分を保っていようと、必死に抗いながら。
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