詩ことばの森(121)「詩人の道」
詩人の道
かつて 詩人らが暮した村では
彼らと かれらの恋人たちの
おもかげを語るものが
今も 森かげの道を歩いている
白く塗られた古い家や
アカシヤの木々を通りすぎるたび
鳥たちのさえずりが聞こえ
淡い恋を 告げようとしている
西洋皿が置かれた 暖炉の灯りのそばで
恋したひとりの少女への想いとともに
詩人が沈黙しつづけた日々
ときおり 病んでいた姿を見せては
なにかの花のようにゆれながら
生と死のはざまを歩いている
(森雪拾)
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