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詩ことばの森(101)「水系の家」

水系の家

むかし   僕は
この町で生まれた
家は川のそばにあって
水の流れる音がいつも聞こえた

むかし   むかし
僕の父はこの町に来た
川の上流にある生家を出て
河川敷の工場で働きはじめた

この川をずっと遡ると
祖父たちの村があった
今はダムになってしまった
棚田のある山間の村だった

父の亡くなった年齢に近くなったためか
川にたたずんでいると
水系に連なる僕たちの
家のことを考えることがふえた

今は工場の姿もなくなって
風景や流れも変ってしまった川の面に
祖父や父親の顔を
ふと 思い浮かべることがある


(森雪拾)

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