
「カセットテープファンクラブ」
っうか、そんなものは無い。
「カセットテープファンクラブ」?
マジウケる~ …訳もない。
大体さ、オレじゃないんだよ言い出しっぺはさ。
ええ歳こいてさ、ヒデオが思い出のカセットテープを大量にウチに持ってきたんだけど、お互いアラフィフで、ダブルデッキ、システムコンポ (完全死語、わかんないヤングはググってね) 全盛期に思春期をこじらせたおっさんだとしてもだな、オマエが期待してるようなカセットプレーヤーなんかとっくの昔にお陀仏してんだよ。
そりゃ昔は、チューナーアンプとダブルカセットデッキとCDプレーヤーが一緒くたになった、夢のような「システムコンポ」なるマシーンが10代の部屋には大抵在ったのさ。
しかしこいつがクセモノで、全部一体化してるから、どれかが壊れると全く機能しなくなる「タダの粗大ゴミ」にまっしぐらになるのよ。
メーカーさまは保証期間が過ぎたら有償があたりまえだのクラッカーだし、さんざん新製品を繰り出しといて、みなさんご臨終あそばされてアフターサービスもなくなるありさまよ。
ソニー、パイオニア、AIWA、DENON、山水、みんなどこに行ったんだぁ~(泣)
だからね、もう20年以上カセットテープを再生するものはわたくしの家にはございません。
ヒデオ君、君は何しにアポ無しでウチにくるわけ?
えっ、最近カセットテープが再評価されててクールだって?
いやいや、オマエさ、ええ歳こいてヤングの流行りに便乗かい?
もうすぐ初孫が産まれるクソじじいが世の中に色気つかってんじゃねえよ。
しかしながら、ヒデオのコレクションがどんなんかスゲェー興味が湧いてきて、とりあえず二人でカビ臭い段ボールを開けてみた。
あの当時の流行りは自分でインデックスカードをデコって、自作のオリジナルテープに陶酔するのが「元祖意識高い系」だったんだ(かなり強引な設定だな)
そんなことを思い出すと、青春 (性春ぢゃない) の記憶に口の中が甘酸っぱくなってきて、思わずゲロを吐きたくなってしまった。
しかもコイツ、新井薫子、三田寛子、島崎和歌子…ムチャクチャニッチな幻のアイドルばかりコレクションしとる。
寒っ!
それをいちいち、おそらく当時のアイドル芸能誌の「明星」や「平凡」のグラビアから切り取って、カードの表紙に貼ってやんの。
マジか。
そんなカセットの中に、珍妙なブツを発見。
「朝宮せつこ 後ろから前から」
なんやねん、これ?
ヒデオいわく、確か当時のポルノ女優 (まだAVはあり得ないほど高価なシロモノだった昭和である) のエッチなトークのテープらしい。
裸のグラビアを貼ったカバーに、手書きの赤い字で「後ろから前から」って書いてんの。
これこそマジウケる~だわ。
だいたい畑中葉子の「前から後ろから」のパクりやんか。
これはネタとして俄然聞きたくなったが、もちろん我が家に再生機など無い。
ヒデオは勝手に盛り上がってきて、「オレたちでグループ作んないか」って言ってきた。
「何のグループ?」
「カセットテープファンクラブ!」
いやさオマエ、ドヤ顔で言われたってムリだから。
しかしオチも無えなぁ。
これがアラフィフ文系のリアルだとしたら、後は野となれ山となれっう気分だな。