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「トリプティック」 第25話
それは偶然に過ぎない。
巴は佐藤が自分の部屋を訪れることなど想像していなかった。
この先二人が関係を持つこともなく、職場で何事もなかったかのようにやり過ごす日々が来る。
そんな茨の敷布の上を素足で歩かねばならないような苦渋の明日を堪えきれる自信もなく、仮病のうちに決意の先送りをした女の元に、贖罪のために会いに来るのは構わない。
しかし、一体どんな着地点を描いてきたのだ?
お前が選んだのは他の人。
他の男。
だからお前の優柔不断はそんなものを考えてもいないのだ。
良心の呵責に耐えきれないお前自身のアリバイのために赦しを乞いにやってきたことに、お前自身が気付いていないのだ。
その無神経こそがより深い罪であることを。
「どうするのよ?
こんな風に人の唇吸っておいて、その口でもって別の男の唇を欲しがっているんでしょ?
田村さんとこうしたいんじゃないの?
あんた、変態だよ」
巴は佐藤を弄り、パンツのファスナーを一気に降ろした。
「女でも男でも構わない癖に、何に操を立てようとしてんの。
ほら、あんたの操なんてこの程度なんだから…」
ファスナーの口から付き出した膨らみの先を、トランクス越しに指で撫でると湿った沁みができていく。
佐藤は何も言うことができずに、金縛りにあったようにソファーに釘付けになっている。
「巴…」
巴はわかっている。
ここで欲情の力でもって佐藤と結ばれたとしても、彼の気持ちが変わらないことは。だから尚のこと、その気持ちを蹂躙したいのだ。
どうせ私たちは同床異夢の淋しい虫けらに過ぎない。
今夜、お前は私のものだ。
ベルトを取り上げると、パンツとトランクスに手をかけて乱暴に下げた。
反り返って膨張したそれを手でしごきながら、自分の股間に擦り寄せた。
「田村さんのこと想ってる癖に、私のパンティにいやらしい沁みを作らないでよ」
陰茎の先端から堪えきれない分泌で巴の下着に糸を引いて沁みを作っている。
佐藤に跨がるようなその体制のまま、巴は佐藤の唇を吸った。
「上の口で吸って欲しいの?
それとも下の口?」
そう聞いておきながら、巴は跪くと突然激しく口淫を始めた。
佐藤は情けない声を出して呻くだけの獣に成り下がった。
「女にしゃぶられて虫の息吐いてるけど、本当は自分がしゃぶりたい癖に。
田村さんのしゃぶりながらハアハア言いたいんじゃないの?」
口汚く弄りながら、いきり勃った根本や膨れ上がった陰嚢まで吸っていく巴は、もう自分が何をしているのかもわからなくなっていた。
「これで完落ちね」
巴は自分のショーツを脱ぐと、股の穴を通して佐藤の仕上がった陰茎に突き刺し、そのまま股がってゆっくりと抜き差しを始めた。
この先二人はどうなるのか
そんなこと、もうどうでもよくなった…