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『病院事務職の魅力』

皆さんは、「病院事務職」と聞くと、どのような仕事が思い浮かびますか??
やはり受付窓口で診察の受付と会計を行なっているイメージでしょうか。
もちろんバックヤードには労務管理や経理などの担当もいます。

ここでは「病院事務職」という職種が、実は非常に多くの仕事があり、医療に関わるどの職種よりも多様性・将来性があるということをご紹介していこうと思います。

私は、この「病院事務職」が、非常に魅力的な職種であることを多くの方にもご理解いただきたいと思っています。
専門職と比べても遜色ない専門性があり、多くの選択ができるポテンシャルを持った職業であるのだと感じていただけたら嬉しいなと思います。

病院事務職の仕事

ここから病院事務職が携わる仕事を列挙し、その仕事についてご説明したいと思います。

①医療事務

まずは定番の医療事務です。
病院の顔ともいうべき受付窓口で、診察の受付・院内の案内・会計・電話対応などを行なっています。
病院は診療報酬というルールで医療費を算定しますので、電子カルテ等に記載された診察内容に基づいて医療費を計算し、患者さんの負担金を計算します。
診療報酬請求事務という資格を取得し就職する方がほとんどですが、入職してから取得するケースもありますし、無資格の方も存在します。
各種健康保険証や後期高齢者や高校生以下の子どもの受給者証、生活保護の方や障害者の方など、様々な負担割合のルールや確認事項があり、労災保険や自賠責保険などの対応も含め、多岐にわたる業務があります。

そして、最も重要な業務の一つとして「レセプト業務」があります。
毎月の診療内容をお金に換える仕事ですので、非常に重要な仕事になります。
重要な業務であるとともに、医療事務のデメリットでもある部分です。
毎月1〜10日まではこのレセプト業務で毎日3時間以上の残業が続く病院が多いと思います。10日間の拘束とも取れるので、月末になると「もうレセプトだぁ〜」とため息まじりの声が医事課から聞こえてきます笑

算定方法や算定漏れの確認、症状詳記や病名漏れのチェックなど、提供した医療に対して相当の診療報酬を請求できているかを確認します。ここが適正でないと、レセプトが戻ってきたり(返戻)、減点(査定)されて返ってきます。
再請求申請も可能ですが、経営的にはお金の流れが一部滞ることになるので、できれば返戻・査定は0にしたいところです。

②総務課

ここは言わずもがな、労務管理や社会保険・労働保険の手続き、給与計算・年末調整・産休育休手続きなどから簡単な雑用までオールマイティな仕事が求められます。
手段にもよりますが、給与計算がこの部署では大変な作業になります。

ただ給与をもらうサラリーマンとして、後々にも役に立つ基礎知識を得ることができるので一度くらい経験しても損は無い部署でしょう。
転職の際にも有利に働くこともありますね。

③経理課

この部署もよくお分かりかと思いますが、お金の出し入れと管理をしている部署です。
日々の集金・売上管理、両替、得意先への振込、業者等への支払い、月次の貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書などの作成、顧問税理士との調整など、お金の動きに関する対応を行う部署です。
簿記を取得している方も多いですが、昨今は会計システムが良くなっているため、簿記知識を持っていなくても対応は可能ですし、担当になってから簿記を勉強してもよろしいかと思います。

将来、経営方面やコンサルティングなどにも興味がある方は、是非経験していて損はしない部署です。

④人事課

この部署はそこそこ大きくないと単独では置かない病院がほとんどで、本部だけ人事部があり、各病院では総務課の中に含まれているかと思います。

原則として採用業務を担う意味合いがあります。
特に新卒部門を担当し、全国にある多くの専門学校や紹介会社主催の説明会(就職フェア)に参加し勧誘業務を行います。

最低限の総務知識は必要ですが、何よりも大切なことは“熱意”です。
自病院に是非きてもらいたい、当院はこんな素晴らしい病院だと就職希望者の心にどれだけ印象付けて伝えられるか、共感してもらえるかです。
恐らくこれができる方は帰属意識や愛社精神を持っている方が多いと思うので、そのような思いを持っている職員に担当させることが重要だと思います。あとはセンスです笑
業務の中で、自病院のこと、待遇面のこと、他の病院のことなど多くの事に触れる機会があるため、改めて自分の仕事、キャリアなど見つめる機会にもなるのではないかなと思います。

⑤医療連携室

医事課内にあることもあり、医事課の職員から異動になるケースも多い部署です。
病病連携や病診連携の窓口として、診療所や各病院の医療連携室(地域連携室ともいう)と連携し、紹介・逆紹介を行うことでその地域における円滑な医療連携を行なっています。

主な役割としては、他院からの紹介状を受け取り、外来・入院診療につなげる窓口としての役割と、自院にたくさんの紹介をしてもらえるように営業をかけていく役割もあります。

病院によっては、広報活動・苦情窓口(他医療機関)・退院支援・救急受付など、その病院独自の形態があります。その形態により、看護師や社会福祉士なども同じ部署にいて院内での連携にも力を入れている病院も多いと思います。
事務においては、多くのコミュニケーションが必要とされる部署ですので、営業上がりの中途採用者が多く見られる部署だと感じます。
年末の挨拶回りもこの部署が医療機関回りをしていますね笑

⑥用度課(資材課)

もう用度課という呼び名で行うところは少ないかもしれないですね。
要は卸業者の窓口となり医薬品や医療材料の受発注を行い、その在庫などの管理を行なっている部署です。

受発注以外にも、在庫管理や欠品管理、価格交渉、安価な同等品への切替による材料費低減、納品されたものを各部署へ補充するなどが仕事になります。

薬価(薬ごとに決まっている患者に請求する価格)や納入価格なども理解できるようになり、熟練になると、手術ごとに「これが必要」ということがわかるスペシャリストのような感じになります笑

在庫を切らすと大変なものもあるので、専門職や各部署との連携が必須で、きちんと管理しないと適切な医療が提供できなくなるので重要な業務です。

⑦事務長

この職務こそ病院事務職として、『やりがい』以外の言葉が見つかりません。
(但し、誠心誠意この業務に邁進する前提ですが笑)

これまでの①〜⑥までの病院事務職の全てを統括する立場になります。
皆さんの印象は「すご〜い!」ですか?笑
それとも「なんか重たそう…」ですか?笑

事務長という職務は事務の責任者の他に、病院の経営責任を担っています。
病院の経営幹部と言えば、院長・看護部長・事務長を三役、副院長を入れて四役なんて呼び方をします。

が、病院経営は事務長が行うべきです!
ここでいう病院経営はあくまで“数字”に関することです。
売上・支出・経費・人件費・減価償却などなど。
ここを改善・向上するために、医師・看護師・コメディカル・事務に行動を指南して協力してもらうリーダーとしての役割です。
(詳細はまた別で書きたいと思います)

事務長は、自病院の将来を考え、その方向性やビジョンを文字化し、院長・看護部長と共有し、かつ職員たちへ方向性を示していくという役割があります。
つまり事務長は、自ら考えたビジョンを持って経営を進めていくことができるポジションということです。

病院の多くは医療法人で、そのTOPは医師(又は歯科医師)である理事長です。事務長(事務職)は理事長にはなれません。
理事長の人物次第ですが、実質の経営は事務長に任されることも多いため、かなりやりがいのある職務だと私は考えています。
皆さんはどのように感じますか?


ま と め

これまで7つの病院事務職の仕事をご紹介してきましたが、一つ一つでは興味の湧く湧かないがあるかと思います。
しかし『病院』というなかで働いているだけで、この7つの仕事全てに携われるチャンスがあると考えるとどう思いますか??

このことに気づいた時に、「一般企業ではあり得ないよな」と感じ、実は病院事務職には大きな魅力があるのではないかと考えるようになりました。

もちろん配属に希望を出すことができるとは限りませんが、上司との面談の際に、自分の将来的なビジョンを伝えておくことはできると思います。
例えば「将来は事務長になりたい」と考えているのであれば、今は医事課だが総務や経理の仕事もしてみたいと意志を伝えることはできます。
人との会話が苦手なので経理を極めて見たいという将来像を伝えることも良いでしょう。

病院には様々な仕事があるので、向き不向きにも対応しやすい環境でもあると思います。
診療報酬請求事務という資格取得を目指す専門学校から病院に就職する方が一般的に多いと思いますが、大卒を採用する病院も中途採用を積極的に採用する病院もあります。
正直なところ、一般企業よりも給与水準は高くはありませんが、その分採用されやすい環境にあるかと思います。
是非興味のある方は病院事務職を目指して頂ければと思います。

病院業界は赤字続きで、閉院ばかり増えているという声も最近は多く聞こえてきていると思います。確かに診療報酬は削減されていき、厳しい状況が続いています。
特に公的病院は多くの税金が投入されているおかげで生きながらえていると言っても過言ではありません。

皆さんもお分かりのように、どのような状況になっても医療がなくなることはあり得ません。ですが、病院自体の数は減っていくと思います。
なぜ診療報酬が削られているかというと、少子高齢化により人口分布が変動し、以前と同じ形態・数では国民皆保険が成り立たなくなっていくからです。乱立した病院・診療所を集約し、無駄なものを減らし効率化させていく考えが厚労省の目指すところです。
今までの既得権益があった方は文句を言いますが、時代の流れとしては“無い袖は振れない”ので致し方ないところなのです。

ですので、まだ淘汰される前に様々な経験ができる病院での事務職を活用して頂ければと考えております。
万が一閉院や統廃合になっても、病院内の複数の部署で経験したことは「実務経験者」として一般企業含め、転職に大いに有利になることは間違いありません。特に今現在、転職や就職で悩んでいる方は一考してみて下さい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この文章を読んで「色々な仕事ができそうで面白そうじゃん!」と思った方はぜひトライしてみてください!


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