災害時のトイレ問題を繰り返してしまう理由の一つに、私たちは日常会話でトイレや排泄の話をほとんどしない、ということが挙げられると思います。普段、話をしないようなことは、災害時においても声に出しづらいものです。声にならないことは「問題なし」となりがちです。また、備えを考えるときも水や食料は思いつきますが、トイレや排泄のことまでイメージが及びません。そのため、備えることができず、災害が起きるたびにトイレ問題が起きてしまうのです。
ここでいうトイレ問題とは、水洗トイレが使えなくなることで健康を害してしまうことです。例えば、トイレが不便・不衛生になると、私たちは出来るだけトイレに行かなくてすむように、水分摂取を控えがちになります。そうすると、脱水症になりエコノミークラス症候群等で死に至ることもあります。いわゆる関連死です。
助かった命をつなぐために、トイレの備えは欠かせません。
2013年11月10日、日本トイレ研究所は釜石市を中心に被災された市民の方々のトイレ体験談を聞き、話し合い、備えとして伝えたいこと、行動につなげてほしいことを釜石トイレアクションとしてまとめました。
健康、水、トイレ、連携という4つの項目で構成されていて、それぞれの項目の中に行動につなげてほしいメッセージが記載されています。また、枠内には参加者の発言内容が記載されています。ぜひ、参考にしてください。
釜石トイレアクション
1.健康
トイレで命を落としてはいけない!
トイレは命に関わる問題。災害時でも、きちんと食べて出すことを心がけましょう。
トイレを清潔にしよう!
トイレはすぐに汚れてしまいます。臭いや感染症の問題が出ないように、みんなで掃除をしましょう。
2.水
水を使い分けよう!
水はとても大切です。無駄にしないように、用途に応じて上手に使い分けましょう。
3.トイレ
洋式トイレは高齢者・障がい者に必須!
洋式化、段差解消、手すりの設置が必要です。介助も考えたトイレ空間にしましょう。
みんなが安心できるトイレが欲しい!
トイレに不安を感じる人はたくさんいます。明かりやプライバシー、防犯などに配慮しましょう。
トイレ用品を備えておこう!
普段使っているトイレが使えなくなることを考え、必要なものを用意しておきましょう。
身近なもので工夫しよう!
身近なものを活用することで、トイレ問題に対処できることがあります。経験者の知恵を学びましょう。
4.連携
普段からのあいさつ、避難所での朝礼が大切!
地域でのつながりが、とても役立ちます。普段からつながりをつくるようにしましょう。
被災地支援のためのネットワークが大切!
地方公共団体や民間団体など、様々な組織が平常時から連携し、いざという時に備えましょう。
以上です。
災害時のトイレの備え方
youtube日本トイレ研究所にて、災害時のトイレの備え方(携帯トイレの使い方、バケツ洗浄の方法など)についての話をしました。こちらも参考にしてください。