9月4日の手紙 Audibleに挑戦
拝啓
今日はくすんだ空です。
灰色というわけでもなく、くすんだベージュのように見える空でした。
だというのに、時間が経つにつれて、蒸し暑く、かんかん照りになってきて、夜になっても暑いです。
かと思ったら、小雨が降っています。
何とも不安定、何ともやる気を削ぎます。
こういう日は好きなことについて書き綴ろうと思います。
本を読むのが好きです。
小説が1番好きですが、歴史や科学に関する本も、自己啓発本も漫画も読みます。
子どもの頃、「道路に落ちているものに文字が書いてあったら、読みふけってしまう子ども」と言われた覚えがあります。
そのおかげで、絵本や児童書ではついぞ見たことがない、スポーツ新聞の奇妙な言葉や文体にも、人より早く触れました。
文字はここにないもの、見たことのないもの、体験したことのないものまで、瞬時に立ち上がらせることができます。文字という媒体から
本を読む速度がかなり早いらしいです。
らしいと言うのは自覚がないし、比べたことがないので正確にはわからないと言うことです。
速読とは違い、ただ、本の表面を撫でるように読むので、忘れてしまったり、勘違いしたりも多い読み方だと思います。
それに最初から順番に読んでいくわけではありません。
反対から読むこともあれば、本が開いたところから、読んだり、気に入ったところは何度も読んだりします。
ミステリですら、結末から読むこともあるくらいです。
また、一冊ずつ読んでいくわけでもありません。大抵同時に数冊を並行して読んでいます。
家のあちこちに読みかけの本が落ちており、気になった時に手に取って読みます。
本を読み進めるのに、お行儀の良さ、真面目さは必要ない、と今は思います。
若い頃は、一冊終わるまで、他の本は読みませんでした。
市の図書館では、毎回限度いっぱいまで本を借りていましたが、それでも順番に読んできた気がします。まだ集中力があったのでしょう。
それに、
目が疲れてしまうのです。
読み進めたくとも、目が文字を拒否すると言うことがあるのだと身をもって知りました。内容が入ってこない本をしょぼくれた目で眺めるのはつらいものです。
今は本を買っては積んでおくことが多くなってきました。
本は立てたら読了の印です。
横に置いてある時はまだ読んでいないということになっています。
引越しの際にほんのかなりの部分を整理し、新しい本棚を購入しました。今度こそ余裕があったはずなのですが、瞬く間に本は増殖しました。おそらく本は単為生殖なのでしょう。わずかな隙間があれば、どんどん増えていくのです。
…嘘です。新しい本棚を導入して浮かれて、引っ越す前に我慢していた分まで、本を買いました。それゆえの蔵書の増殖です。
そして、出来ることなら、ひたすら本だけ読んで生きていたいのですが、
腹も減り、部屋も散らかる、服も汚れる…
つまり、生活をやっていかなくてはいけません。
家事だけに集中することがいつも苦痛でした。
修行としては、「家事にだけ集中する」が正しいのでしょうが、
その間も本を読んでいたいのです。
家事だけに集中しないといけないと考えると家事そのものが面倒になります。
家事を始めるのが遅くなります。
以上の、
・読書はもっとしたいが目があまりにも疲れる、
・本が増えて本棚を圧迫する、
・本を読みながら家事をすることができないので家事が嫌になる
これら3点を、回避する方法を鑑みて、
Audible(オーディブル)というサービスに入ることにしました。
月々1500円の定額プランで、プロの俳優や声優が読む12万冊以上の対象作品が聴き放題で楽しめるAmazonのオーディオブックのサービスです。
初月無料だったので、7月から入会してみました。
散々迷った挙げ句、最初に選んだのは
劉慈欣による中国SF小説「三体」です。
中国SF小説を初めて読むのに、
Audibleでいいのか…失礼ではないのかという思いはあったのですが、
面白いがかなりの長編と聞き、絶対目が滑ることは確実なので、許しを乞いつつの選択です。
聞き始めると、読み手の方の声、演技、演じ分けも大変よく、気に入りました。
海外小説ではよくある名前が誰だかわからない現象は起きましたが、アプリに登場人物表なあったので、乗り越えられます。
演じ分けて読んでくださるので、名前を思い出せなくても「あの人ね!」とわかるのも音声コンテンツのすごいところでした。
1番の問題は、同音異義語や物理学,天文用語の漢字がわからない点です。何の話か全くわからなくなることがありました。
言葉に三体というキーワードをつけて検索し、どのような漢字なのかを確かめる作業が必要です。
それでも、電車に乗りながら、皿を洗いながら、クイックルワイパーをかけながら、洗濯物を干しながら、
地球の存亡についての物語を聞けるのは最高です。
イヤホンを取り出し、「三体」を聞きながら家事をしようと思うと、
ずいぶん家事に取り掛かるまでが早くなりました。
しばらくは、SF小説ばかり聞くことにしています。
だって家事をしながら、地球や宇宙の存亡に思いを馳せる、その広大さがたまらないからです。
荒唐無稽で時には高尚な世界と目の前の汚れた皿たちが繋がっている、
そう思うとワクワクするからです。
ちなみに、読み手の声には気をつけたほうが良さそうです。
個人的に苦手な声・読み方の読み手の話は聞き続けることが不可能です。
口コミを読んで、聞きやすいと書かれている作品を選ぶようにしています。
とはいえ、こればっかりは、相性というやつですね。
ずいぶん長くなってきたので、
劉慈欣の「三体」についての感想はまた今度、書いてみようと思います。
オーディオブック使ってみたことありますか?
結構、いいものですよ。