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2024年6月3日 芍薬の香り


特段、変わり映えのしない日常を送っておりますが、
それでも日常は発見に、満ち溢れているものです。
芍薬にも香りがあるということを発見しました!
個人的には大発見です。
「いやあるでしょう」「花なんだから」というツッコミが入りそうですが
いけていると香りは分かりにくいものなのです。
以前に記した通り、大ぶりの芍薬を3輪購入しました。

芍薬はいけた直後、嗅いでみたのですが、無臭というわけではないものの、強い香りがするわけではありませんでした。
あれだけ華やかですから、バラのようにかおるのかと思ってしまいますが
強い香りは感じられません。
バラってやっぱり特別華やかな花なのだと再認識したほどです。
姿形だけでなく、あれほどまでに香るのですから。
さて、咲いていた芍薬はしばらくすると、花びらを華麗に散らしてしまいました。儚いものです。
つぼみだけは、まだ元気です。
少しずつつぼみをふくらませ、何とか開花まで漕ぎ着けました。
今もまだ花を保っています。
同じ桃色の芍薬のつぼみだと思って購入したのですが、咲いてみると、紫がかった不思議な桃色です。
むしろ、きっぱりと紫と言ったほうがしっくりくるかもしれません。
これは花の栄養剤や日光の当たり具合に関係する色の変化でしょうか。
原因が何にせよ、
漫画「ガラスの仮面」の「紫のバラの人」が送る紫のバラはこういう色なのかしら…と思わせる、
高貴な紫色です。
しばらく持ってくれることを祈りながら、残った一輪の芍薬の水を変えています。
散ってしまったのは大輪の白の芍薬と桃色の芍薬です。
芍薬の花は散り際に爆発すると聞いていたのですが、その瞬間には立ち会えず、朝には、花瓶の下に花びらが降り積もっていました。
散った花びらは、ふわふわと柔らかく、淡い色合いのままです。
すぐにゴミ箱に入れてしまうのは惜しく、近くにあった、大きめの広口ガラス瓶(いつもは花瓶として使用)に、芍薬の花びらを詰めました。
まだ気温もさして高くありませんから、すぐ腐ることはないだろうと思ってのことです。
ガラス瓶に入った、花びらはそれだけで絵になります。
ガラス越しの薄い桃色の花弁も美しいですが、少し濃い桃色、白色、傷んだ茶色いずれも、目の栄養です。
ガラス瓶に散った花びらを入れただけなのですが、
なかなかどうして、
素敵なインテリアです。
気に入りました。
念のため、晴れた日には、日光の当たるところにガラス瓶をおいておくことにしました。殺菌のつもりです。
これでガラス瓶の中で、花びらがぐずぐずに腐ってしまうようなことはないはずです。
もしかすると、クッキングシートかざるに花びらを並べて、上からネットかラップでもかけたほうが、綺麗に乾燥できるのがしれませんが、
そこまで手をかける必要もないか、とガラス瓶を日の当たる場所に置くことで満足してしまいました。
日の光が当たった、ガラス瓶はまた、美しく、喜んでいるように見えました。
夜に、ガラス瓶を回収して、
花びらの乾燥具合を見ようとガラス瓶の中に
指を入れました。
完全に乾燥したわけではないようで、まだ花びらの柔らかさは残っています。
指をしっとりと押し返す、なめらかな花びら。
しかし、何より驚くべきはその香りです。
ガラス瓶の中をかき混ぜると、
花の香りが漂ってくるのです。
淡いですが、確かに花の芳香です。
ピオニーと呼ばれる方には香りがあるけれど、
芍薬には香りがないものだと思っていましたが
間違っていたようです。
花びらだけになってしまっても、いや、
花びらだけになってしまったからこそ、
花の香りが際立つようになったようです。
青っぽい生々しい香りに
柔らかに甘い香りがうすく重なっています。
香水で、いわゆる「ピオニー」とされている香りとは違う、生花ならではの香りのように感じます。
人がまとっていると、きっと香水ではなくその人の香りだと
感じてしまいそうな自然な香りです。
しばらく、ガラス瓶に花を何度か近づけて香りを味わいました。
そのうち、香りは飛んでしまうのかもしれませんが
それもまた一興と思っています。
普通なら捨てるような花びらでここまで楽しませてくれる芍薬、生花はすばらしいですね。
頻繁に購入できるわけではありませんが、
機会を見つけては、購入したいです。
あの、大きな花を栽培している、花農家さんがいることも気になります。
一体どうやって育てるのでしょう。
やはり、ハウス栽培でしょうか。
つぼみで出荷することになるでしょうが、あの控えめでフレッシュな香りは
どの時点から発するのでしょう。
ハウスの中にたくさんの芍薬があると、ハウス全体があの香りに包まれるのでしょうか。

調べてみますと、芍薬、路地栽培もしているんですって。
あんなにふわふわ柔らかい花弁を持つ花だというのに、路地栽培で成長するとは…、
雨風に打たれてあれだけ、華やかかつ繊細な花弁を持つ花になるとは…、
ますます気に入りました。
茎もすっと、まっすぐなところもまた、好ましいです。
華やかだけれど、タフなんですね。
そういう人間に、なりたいものです。
芍薬の栽培をしている関東の農家さんのホームページを見ると、今年の芍薬のシーズンは終了したとのことです。
初夏のイメージがある芍薬ですが、次の発送は、来年の3月からだとか。

来年は早い頃から、農家直送で、購入してみでも良いかもしれません。
好きな花はバラだったのですが、今回のことで芍薬も負けず劣らず好きになりました。


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千歳緑/code
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