【感想】映画ゆるキャン△ネタバレあり_非実在女子大生、空清水紗織の感想Vol.0011
TVアニメと変わらない時間がスクリーンでも流れていて、非常に心地よい時間だった。
ゆるキャン△は2015年からマンガ連載が開始し、2018年と2021年にはTVアニメが放映された。そして2022年の7月、満を持して映画となった。
ゆるキャン△の魅力は至る所で論じられている。
ソロキャンプやグループキャンプの楽しさ、雄大な自然、美味しそうなキャンプ料理、そしてつかず離れずな主人公たちの人間関係。
そういった魅力が映画でも遺憾なく描かれていた。
アニメ版から数年経ち、劇中の彼女たちはすっかり社会人だ。
それぞれが仕事に追われ、以前のようにシーズンごとに集まってキャンプをすることもない。それでもメッセージアプリでたまに近況は報告しあうという、高校時代から変わらぬゆるい繋がりが冒頭から描かれている。
そんな中、地元山梨の観光推進機構に勤める千明から「キャンプ場を作ろう!」という話があがる。
ここからの描き方が、まさにゆるキャン△といった感じだった。
キャンプ場を作るなんて、割と一大イベントだ。
高校生の頃からの友人と、社会人になってもう一度集まって何かを成し遂げるなんて、かなりドラマチックになり得るだろう。
それを高揚感抑え目で「やってみようか~」というゆるいテンションで描いていく。
それに伴う喜びも、悲しみも、いたずらに誇張せずに、振れ幅少なく物語は進んでいく。
感情の上限も下限も一定の閾値に収まっているから、安心して観ていられた。
この安心感こそ、ゆるキャン△の真骨頂だろう。
映画の最後はアニメTV同様、佐々木恵梨さんの優しいED曲で締められる。
ゆるく優しい日常から、忙しなくて苦しい日常へと送り出されるが、ほんの少しだけ胸が温かく、肩の力を抜いてみるかという気持ちになれる。
辛くなったら、またゆるキャン△の世界に戻ってくればいい。
「また行こう、キャンプ」なでしこちゃんなら、きっとそう言ってくれる。