【感想】読書感想文「吉祥寺の朝日奈くん」「人間じゃない」「王とサーカス」_非実在女子大生、空清水紗織の感想Vol.0014
色々と忙しく、どうも更新が億劫になってしまう。
ただ、小説を読んだり、美少女ゲームをプレイしたりと好きなことはできている。
まとめてになってしまうが、最近読んだ3冊の小説について、感想を書く。
吉祥寺の朝日奈くん(中田永一 先生)
表題作含め、5作の短編からなる本作。
手に取った理由は、私の好きなYouTubeチャンネル「ゆる言語学ラジオ」で紹介されていたから。
パーソナリティの堀元氏は「叙述トリックの名手が、それをスパイスにして、愛の永続性を描いた本」と仰っていた。
まさにその通りで、表題作はもちろん、他の作品もちょっとした驚きと、その後の心温まる読後感が良い一冊だった。
私のお気に入りは「吉祥寺の朝日奈くん」と「ラクガキをめぐる冒険」。
後者の方は「まあそうだよね」とトリックに気付きやすいが、それでもラストで明かされる真実に、なんだかホッとした気持ちになった。
ちなみに「叙述トリックの名手」とは、作家「乙一」先生のこと。
「中田永一」先生とは「乙一」先生の別名義だ。
乙一先生の作品は他に「夏と花火と私の死体」と「暗黒童話」しか読んでいなかったので、他の作品も読んでみたい。
人間じゃない(綾辻行人 先生)
こちらも短編集。
本格ミステリからホラーまで、幅広く綾辻先生の世界に浸れる作品だ。
一作品ごとに執筆時の心境や、収録の背景など、綾辻先生のコメントが付いているのも嬉しい。
表題作の「人間じゃない」と、「蒼白い女」が私のオススメ。
特に「蒼白い女」は、あの短さでこんなにゾクゾクさせるのかと唸ってしまった。
カバーは 遠田志帆 先生。
Anotherシリーズでも魅力的なカバー絵を描いてくださっていて、こういう繋がりは何だか嬉しい。
話は逸れるが、本書を購入した際、時期的に 相沢沙呼 先生のmediumシリーズも書店に並んでいた。
このシリーズも遠田先生がカバーを手がけており、その日は遠田先生が描く女性に視られているような気分だった。
(mediumシリーズもいつか感想を書きたい。)
王とサーカス(米澤穂信 先生)
これだけ有名なのに、どういうわけか今まで読んでいなかった名作。
事件の舞台はネパール。
緻密な描写のおかげで、主人公と同じく自分もネパールを旅しているような気分になれる。
そして、その描写のあちこちに、事件を紐解くヒントが隠されている。
一回目は謎解きを主人公に任せて、二回目は自分もヒントを取りこぼさないように読むのが楽しいかもしれない。