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【感想】読書感想文「脱出」「私は存在が空気」「百瀬、こっちを向いて。」「忌名の如き贄るもの」_非実在女子大生、空清水紗織の感想Vol.0055
ちょこちょこ読んでいた本の感想を一言ずつ。備忘録的に。
※ネタバレあり
「脱出」
書名のとおり、脱出をテーマとして、
5名の先生が書き下ろした作品が収録されたアンソロジー。
脱出だけでこんなに幅広く楽しめるんですね。
5作とも面白かったです。
▼阿津川辰海先生 「屋上からの脱出」
5作の中で一番青春を感じました。
登場人物たちの、若さゆえのみずみずしさが詰まっていた気がします。
▼織守きょうや先生 「名とりの森」
立ち入り禁止の曰くつきの森に迷い込んだ子供たちのお話。
伝奇風だけど、じめっとし過ぎていないのもまた良いですね。
▼斜線堂有紀先生 「鳥の密室」
上述の2作から打って変わって、少し重ためな魔女狩りモチーフのお話。
ハッピーエンドではないけれど、
それでも未来に向かって進んでいくラストが切なく、
そしてその中で希望を感じる一作です。
▼空木春宵先生 「罪喰の巫女」
空木先生のお話を拝読するのは今回が初。
古風な言葉遣いと伝奇要素のテイストが私の好みに合致。
このアンソロジーの中で一番好みの作品でした。
他の作品も読んでみたいなあ。
▼井上真偽先生 「サマリア人の血潮」
好きな作家である井上先生の作品。
雰囲気は「アリアドネの糸」にちょっと近いかも?
研究所からの脱出を図るサスペンス系でぐいぐい読めました。
あと、この記事も面白かったです。
斜線堂有紀ら、5人のミステリー作家が「脱出」に挑戦 アンソロジー『ミステリー小説集 脱出』刊行記念トークイベント|Real Sound|リアルサウンド ブック
「私は存在が空気」
「吉祥寺の朝日奈くん」の中田永一先生の作品。
超能力が使えるけれど、他者とのコミュニケーションはちょっと苦手だったり、
自分に自信が持てなかったりという登場人物たちが織りなす、恋愛短編集。
彼ら彼女らの不器用さが自分とも重なって、胸を痛めながらも応援したくなります。
「百瀬、こっちを向いて。」
こちらも中田永一先生の作品ですが超能力はなく、恋愛に振ってます。
文体はやわらかくて、内容はちょっぴりほろ苦い。
ほわっとしてるけど、ピリっともしてて、他ではなかなか味わえない読書体験だなと思います。
好きです。
「忌名の如き贄るもの」
刀城言耶シリーズの最新作。
2作目の「凶鳥の如き忌むもの」までしか読めてないのに、11作目の最新作を読んでいるのは、
どこの書店に行っても他作品が置いてなかったから……。
本は書店で買いたい派なのに大きい書店は周りにないし、
取り寄せのためのコミュニケーションも苦手だから、なかなか手に入らない。
こういうとき超能力があれば良いのになあ。
どちらかといえば1作目の方に近い雰囲気で、ラストは結構ホラー。
背中がゾクッとくる不気味さがあって良いですね。
本格ミステリとホラー、どちらも味わえるシリーズで好きなので、もっと手に入りやすくなってほしい。