漫才師二人
伝説の一日
今は亡き伝説の漫才師は、
彼らをみて、こういった。
「お前らはなめとんか! そんなもん漫才やない! チンピラの立ち話じゃ!」と。
それを受けて、その後に彼らのひとりが
「チンピラの立ち話大いに結構。チンピラが立ち話をしていて、聞いてみたら面白かった。最高やないか!
それこそがオレの目指す漫才なのである。」と述べている。
あるブームの先駆者である漫才師は彼らを見て、
コンビの解散を決めたという。
「そのまま漫才を続けても、サブロー・シローやダウンタウンには勝てへん」と。
このエピソードを聞いて、数年前に起きたM-1チャンピオンの漫才かそうじゃないか論争を思い出した。
結論、サンパチマイク(センターマイク)があって、
それで面白いことをする、それまでの漫才を裏切って新しく進化し続けていくお笑いがそれなのだ。
4月3日にNGKで行われた、吉本興業創業110周年公演
「伝説の一日」の千秋楽にダウンタウンが登場した。
NGKの舞台上で2人が漫才をやるのはなんと31年ぶりだそう。
会場にいるお客さんはもちろんのことだけど、
舞台袖に本人たちも言っていたが、たくさんの後輩もその時を見ていた。
ボクも遅ればせながら、2人の漫才を見ることが出来たので、今日この記事を書いている。
出囃子のEPOのダウンタウンが流れてもなかなか2人の姿が現れない。
舞台に出てきた2人は、松ちゃんがスーツで、
浜ちゃんはグレーのパーカー。
よくあるダウンタウンの感じである。
しばらくして、2人がサンパチマイクを挟んで、立って話し出し、会場の雰囲気などで会話が始まり、松ちゃんが漫才って~と話始めて、そこから漫才が始まっていく。
お客さんもわぁ~っと沸いて、どんなネタやってましたっけ~にお客さんから「誘拐」とか「お医者さん」とかの声が来ると、浜ちゃんが「あ、はいはいって、誰やねん!」みたいな具合で、お題が「クイズ」になる。
ダウンタウンのネタのなかでは、クイズのネタがあり
それはダウンタウンのネタのなかでは有名なものだろう。「太郎くんがお花を買いにいきました。どうでしょう?」みたいな感じのネタだったはずだ。
そこからクイズについて2人が話始めて、ネタというよりは立ち話のような感じの流れがそこからずっと続いていくのだ。
浜ちゃんにクイズを出せという松ちゃん、
それに応じて「東京タワーの高さは?」とクイズを出すところから、どんどん膨らんでいく。
ボケとツッコミという漫才の形であるものの、
明確にボケましたよ~とかなんでやねん!みたいなことではなくて、ただただ面白い話を2人がしているという状態。
これでいいのだ。
これがダウンタウンの漫才。
チンピラの立ち話大いに結構なことなのだ。
この2人を見て、面白くないとか漫才じゃないとか、
カリスマだから持ち上げてるとか言う人もいるかもしれないが。
それはその人の感性なので、どうぞご勝手に。
ある人の言葉を借りれば、漫才ブーム以前の漫才が8ビートだったなら、漫才ブームで速くなってテンポが16ビートになって、間が速くてボケもツッコミも数多いしゃべくり漫才だったり、勢いのある動きをするスタイルを主流とする感じだった。
が、それをダウンタウンは逆に遅くした。
ビートでいえば4ビート。間が空くことを気にしないで、少し遅いかなぁ~くらいなテンポでネタが進んでいく。
これがダウンタウンの漫才で、2人だから出来ること。
かつて若手芸人がみんな陥ってしまった真似の出来ない漫才の形なのだと思う。
なので、そのダウンタウンの漫才がまた見られた!しかもスタイルがおおまかには変わっていない、2人が楽しそうにやっているけど、2人が常にその場その場で相手に合わせていく松ちゃんと浜ちゃんだから出来る漫才だよなぁ!やっぱりすごいなぁ~って思ったんですよね。
今はやっていないけど、ガキ使でやっていたフリートークはダウンタウンの漫才だったといわれたりするが、まさにそうだったなぁ~と思う。
送られてくるハガキのお題に2人が即興でネタをやるスタイル。それで面白いことをやる。それを見て、笑える。最高じゃないか!
今回のネタもなんの打ち合わせもなく、
ただただ2人が漫才を30分やるだけのこと。
打ち合わせをしたかった浜ちゃんに松ちゃんが何も言わずに舞台上でぶっつけ本番の超新作!
だけ、というが30分面白いことを打ち合わせもなくやることなんてそうはできない。
あぁ~見られて良かった。
それだけで、伝説の一日だ。
書きたいことはたくさんあるんだけど、言葉する能力がボクにはないですし、言葉すればするほどそれが伝わないような気がするので、見れる人は是非見て欲しいと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
それではまた。