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【小売業からの地方創生】今だからこそ見直したい 沖縄共同売店の過去と未来(未来編)

前回は沖縄を中心として見られる共同売店のおおまかな仕組みとその現在地を記事にしました。もしご覧になっていない方がいらっしゃったらこちらを先に読んでいただけるとわかりやすいと思います。

ここからは、その現在地からどうやって未来に発展していくのか、どうして共同売店を見直すことが地方創生につながっていくのかについて触れたいと思います。まず最初に、簡単にですが前回記事の内容…メリットデメリットの話を軽くまとめた図を下に記しました。

かだい

では、この2つの課題について順を追って見ていくこととしましょう。

■商品性

商品性の問題はどちらかと言うと物流の問題に収斂される問題だと思います。お店までバリエーション豊かな商品をタイムリーで安価に運ぶ手段が確立できればそれで問題なくなります。大手チェーンはこの問題は物量(売り場面積の広さと大量輸送)によって支えますが、共同売店はどう大きく見積もってもコンビニクラスであるため、常に品揃え良くと言うよりも、必要な商品が必要なタイミングで入っていることがキーファクターになります。

そうなると「大きな倉庫を持ちそこと商品の入れ替えを行う」か、もしくは「日々配送で細かく商品を仕入れる」ことが必要となるのですが、大きな倉庫を持てない共同売店にとっては品ぞろえを整えるのにはタイムリーな商品配達が必要になります。これは一般的なコンビニと同じ概念で、お店が実質的な倉庫と捉えて日々配送で商品の入れ替えを促し魅力的な商品ラインナップを維持することを行うのです。

ところが、人手が確保できない現状において地方外縁部まで足を延ばせる運送業者は少ないのが実情です。しかも販売数が少なく運送料が稼げないとなればなおさらでしょう。裏を返せば、それらの課題をクリアした上で日々配送を可能とし、その都度適切な商品を運ぶ仕組み(マーチャンダイズ)が可能となればクリアできる問題でもあります。

■後継者不足

地方外縁部に行くと必ず問題になるのがこの「事業継続のための後継者がいない」問題です。一般的な若者が職がないことを理由に都市部に出て行ってしまうのもありますが、社長の息子が大学進学などで都市部に行ってしまい、そのまま都市部で暮らし始めてしまうという問題もまたあり、この後継者不足の問題は地方創生の大きな壁となっています。

そして共同売店においては基本的に経営者=運営者(お店の人)」になることがほとんどです。売り上げが大きくないため店員を雇うことができない、仮に雇えるとしてもほとんどの若者は外に出て行ってしまってそもそも雇えない、だから経営者が本業の片手間にお店を運営することが多く、ゆえにお店にいられない時間ができてしまうのでツケ払いを許可せざるを得ない…と言うところもあると聞きました。

しかしながら、会社経営そのものはその土地にいなくても経営できてしまう(東京に本社があるけど福岡でお店は運営できるみたいな感じです)ので、問題なのは共同売店において「経営者=運営者(お店の人)」である部分。この部分をクリアできれば実現可能なことでもあります。

それではこの2つの課題に対する答えを見ていきたいと思います。

■未来の解決方法①~半客半貨の自動運転の採用

この2つの問題は個別の問題ではありますが、大きく1つのファクターでクリアできると思われます。人がいないなら

日々配送の問題は自動運転でクリアできます。例えば共同売店同士が協同組合を設立して1つの配送ルートとして存在、名護の大手スーパーから商品を積みだして道なりの共同売店に配送する。ただし商品配送だけだと量的に成り立たないので、名護とやんばる奥地を結ぶ自動運転バス路線を作り、半客半貨として運用することで

この仕組みは配送ルートを作るだけではなく、観光客を奥地に呼び込むルートとしても機能させることで売店の維持と観光の発展の両方を狙うことができるようになるのも利点の1つだと思います。運送だと思うからコストペイしなくても、客送を含めたトータル運送費だと考えればコストペイできる可能性はあると思います。自動運転は主にバス利用として各社さん実証実験を進めておりますので、そこと大手スーパーチェーン(名護のサンエーさんかかねひでさんあたりでしょうか)と組めれば、スーパーを物流倉庫に見立てつつホテルをバスの起点とし、自動運転車で商品と観光客を届ける…みたいなことも可能かもしれません。

■未来の解決方法②~無人店舗化の実現

後継者不足により店舗運営者がいないことが課題であると書きましたが、裏を返せば「お店に人がいなくてもOKにすれば」解決する問題でもあります。そこで出てくるのが無人店舗化技術です。

場所的に盗難活動が行いやすい(人目が少ない)ことを考慮すると、「商品を買うためには認証が必要」「キャッシュレス」が主体になると思います。ただ、AmazonGOのような高コストの仕組みを入れてもコストペイできないので自販機ベースが理想なのですが、残念なことに自販機は取り扱えるSKU数が少なく(大きさにもよりますがおおむね30程度)、かつ大きさや破損可能性などの問題がつきまとうことから類似製品の採用が必要となってきます。

「店舗を居抜く仕組みは高額でも、自販機はその機能に足りない」と言うことであれば、その中間(?)である無人販売機を使うのがベストだと思います。

《RFID型無人販売機》
・パナソニックさん(商用未定)
※飛天ジャパンさんの画像は見つけられませんでしたが、パナソニックさんと構造的にはほぼ同じです。

《画像認識型無人販売機》
・高千穂交易さん(PDF注意)

これらの機材の特長として「扉があるため認証を受けた者以外が商品に触れられない」「キャッシュレス」「商品バリエーションを増やすことが容易」である点です。特に3つ目の商品バリエーションについては自販機だと1コラム1種類のため難しいところを複数の種類を1つだけ販売できるという通常の商品販売方法とあまり変わらない形で商品陳列ができることが自販機との最大の違いです。言ってしまえば扉付きの冷蔵ショーケースなので、コンビニの飲料販売している冷蔵ショーケースをそのまま無人化することも仕組み的に難しくなく、1店舗全てを居抜くAmazonGOタイプに比べるとコスト的にも難易度的にもかなり敷居が低い仕組みとなっています。

自動販売機みたいなものなので店舗の中にそのまま据え付けてしまえば商品棚としても機能しますし、自販機と同じような商品在庫管理ができればシステム的に遠隔監視もできるため販売状況や売れ行きを見て商品を変えたり補充数を増減させたりもすることができるため、お店でしなければならないことがかなり減ることも事実です。そうすればお店に人がいなくても商品は販売できますし、自動運転バスが来るタイミングだけお店にいて商品を受け取り、補充したらまた本業に戻る…と言うこともできてしまいます。経営者がそこにいなくても、バイトとして近所の方にお願いすることも考えられますし、今の状態から見ればかなり人的資源の柔軟性が高まります。

そして販売データも無人化によりかなりきめ細かくとることができるようになります。どれがどのタイミングでどれだけ売れるのかを自動で把握し、その売れ行きデータを見て発注を自動化させることはもちろん、ID-POS的なデータ収集ができればそれこそニーズの把握も簡単になります。季節変動やイベント(シーミーなど)で需要が大きく変動する商品についても把握は可能なので、使えば使うほど発注データの高精度化が期待でき、無駄なくタイムリーな商品搬入が可能となるはずです。

しかもキャッシュレスベースとなれば各種の決済ソリューションが使え、かつIDで個人を特定できてしまうことから、例えば「地元の人だと100円で買えるけど観光客だと120円で買える」みたいな仕組みもできます。地元の人の経済的負担を減らしつつ収益を上げる、そして値札が固定されていない(タブレット等に表示される)ためそれに気が付く人も少ないなど、プライシングからも支援できるような仕組みが可能となります。

■ただし…行政の支援が必須

もちろんこうした技術は発展途上であり、まだまだ技術的に未成熟でかつコストが高い(特に自動運転)のが実情です。私のアイデアも現時点では単なる画に描いた餅であり、実現のためにはクリアしなければならない問題が多数あると思います。

ただ、こうした動きを地方創生としての観点から捉えられれば行政としての役割が大きくその意味を持つと思うのです。半客半貨の自動運転バスの実証実験として特区を設ける、共同売店との交渉を仲介する、必要であれば金銭的支援を行う…など、行政にしかできない部分をカバーすることでこうした流れは本流へと繋がることができるようになると思います。

自動運転や無人販売機などの技術的な問題もありますが、例えば生鮮品をいかに半客半貨で運ぶのかとか医薬品の無人販売をどうするのかなど、民間では動かしがたい制度的な縛りをクリアしなければならない問題が結構あるのが実情なので、ここでも特区を作れる行政の役割は非常に大きいと思います。

■《緩募》沖縄から全国へ!こうした取り組みにご興味があるかた募集中!

と、ここまでせっかく書いたので、こうした取り組みにご興味がある方や一緒に考えたいという方を緩~~~く募集してみようと思います。今回は共同売店をベースにしたためやんばるが舞台となりましたが、こうした地方外縁部の活性化にご興味がある方、ぜひご連絡くださいませ!ちなみにTwitterからご連絡いただくと大変助かります(noteの使い方は今一歩分かっておらず…)

最後に。

地方創生と言うとどうしてもドハデですぐに成果に結びつくと思ってしまうもの(観光振興だったりハコモノ建設だったり)に飛びついてしまうことが多いと思います。単年度予算主義の行政から見てもその方が成果にしやすいというのが実情だと思うのですが、経済の規模を拡大させようとすれば必ずて回るのが「生活インフラ」です。働く人がいなければ経済を回すことはできませんし、生活インフラがなく不便なところに働く人として永住しようという考えを持つ人もまたいないと思います。

ですので、行政にはこうした「生活インフラの拡充」を決して忘れてほしくないのです。生活基盤があり、仕事があって初めて地方は活性化できる、この考え方がなければ覚せい剤のような「一時的な刺激はあるが結果的には衰退する」効果しか生まれません。

地方創生を担う人たちには考えてほしい問題でもあると思っています。


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