期日前投票に行ったら、投票所で高齢化の波を感じた
衆議院議員選挙の期日前投票に行ってきた。
選挙権を得てから。幾度も選挙にいっている。
実家に住民票があった時は期日前投票も何度かしたことがある。
熱海に住民票を移してから始めての期日前投票に行って感じたことの話である。
まず。実家に住民票があった時は、市役所に期日前投票に行っていた。
大学生で帰省したついでに市役所によって投票することが多く、投票所入場券も持たずに手ぶらで行って投票していた。
実家の住所と氏名、生年月日を告げれば投票させてもらえた。流れ作業のようにスムーズに投票まで案内をしてもらっていた記憶がある。
投票日と帰省がかみ合って近所の投票所に行くこともあったし、投票所入場券を持参していくこともあった。
状況は様々であったが、特に違和感を感じることもなく、いつもスムーズに投票していたと思う。
熱海に住民票を移してから、初めての選挙が行われている。
(静岡県知事選挙があったが、体調が悪くて投票に行けるような状態ではなかった)
少し話は逸れるが…
今回の選挙は、自分の一票を誰かに投じて意思表示をすることが重要な意味を持つということを、いつにもまして強く感じている。
何となくずっと感じている社会への不信感や不満感、祖国への誇りが絶望に変わっていっている気がする違和感、若者の存在が大切にされていないと感じる社会は嫌だという意思表示を、自分の一票を使ってしっかり訴えなければならないと、直感的に感じている。
結果がどうなるかわからないし、自分の一票が何かを直接変えるきっかけにはならないだろうし、政権交代が起こっても起こらなくても同じように社会に対しての不信感や不満感は変わらないだろうとも思う。
でも、国民主権を自ら放棄していては、社会に対して文句を言うこともできない。
誰に、とか、どの党に、入れたら社会が変わっていくのか、100%の自信をもって投票することはできないけれど、
20代が投票にいって、国政に対して受動的で権利を放棄しているわけではないということをしっかりアピールするために、
そんなざっくりとした思いでも、選挙には行くべきだと思うし、行ってほしいと思う。
特に予定があるわけでもないから、27日の投票日に投票に行こうかと思っていたが、市役所近くまで行く予定があったため、忘れないうちに投票に行こうと思い、手ぶらで期日前投票所に行った。
熱海の期日前投票所は市役所の裏にあるビルで、市役所と同じ敷地にあるものの、存在を知らなかったし、薄暗くて普段何に使われているのかもわからない場所だ。
ビルに入るとすぐに、守衛のおじさんに「選挙ですか?」と聞かれ、「選挙以外でこのビルに用事なんかあるわけないですよ~」といいたくなる気持ちをグッとこらえて、誘導されるがまま階段を上った。
階段の途中で、上から別のおじさんが下りてきて「選挙ですか?」
階段を登り切ったところには、新聞を読んでいるおじさんがいて、こちらの存在に気付くと「選挙ですか?」
おじさんといっても、御年60はゆうに超えているだろうというおじさんたちからの怒涛の「選挙ですか?」ラッシュ。
投票会場の中に入ってもおじさんに「選挙ですか?」
20代が投票に来ることが珍しいのだろうか?何度も何度も念押しされるとは思っていなかった。
「入場券出してください」と言われて、
「持ってきてないです~」と答えると、
「ないの!?持ってないのに来たの!?」
それじゃ投票はできないよとばかりに、あからさまに帰れという表情。
確かに投票所入場券をもってきていない私が悪いのかもしれないが、時間がかかるだけで投票所入場券を持っていなくても投票は可能なはずだ。
他に人はいない閑散としている投票所内で、ものすごく気まずい空気。
これはいったん帰って、入場券もって出直さないと投票させてもらえないかな~と思った。そのくらい、その場にいる選管の人が冷たい目でこちらを見てくる。
「じゃあ、これに名前とか書いて。言っとくけどものすごく時間かかりますよ」
おじさんがやれやれと言った感じで案内してくれた。
なんだかもやもや。
忘れた私も悪いけど、そこまで露骨に嫌な顔しなくてもよくない?
名前書いて、生年月日書いて、住所書いて、それを受け付けのおばさんに渡す。
そこからは割とスムーズだった。
免許証もマイナカードも持っているから身分証明も簡単にできた。
まずは水色の小選挙区の投票。書き終わって投票箱に入れようとした瞬間、
「青い紙の貼ってある投票箱に入れてください!」と強めのお言葉。
さすがにわかるよ…。小選挙区投票箱とかなり大きめに書かれているから、それくらいわかるよ…。と思いつつ投票。
続いてピンクの比例代表とみどりの国民審査。
こちらも書き終わって振り返ると同時に
「比例代表はピンクの投票箱です!」
語気が強くてちょっとびっくり。
そんなこんなで投票を済ませて会場を出ると、おじさんたちは座って新聞を読んでいる。
暇なんだろうな~。でも、この瞬間もお給料が発生してるはずなんだよな~。
と、少しもやもや。
20代が投票に来ること自体珍しいんだろうな、と思った。
ジャージにすっぴんメガネで選挙にフラっと行く人が存在することが信じられないんじゃないかなとも思った。
私の周りにいる高齢者は、選挙の時にはおめかしして一大行事として投票に行くし、お出かけの目的が投票にあるから投票所入場券を忘れることはほぼない。
少なくとも、何かのついでに、コンビニ感覚で投票に行くなんてありえないのだと思う。
熱海は高齢化が進んでいる。消滅可能性自治体の中でも特に深刻だと県内で唯一指摘されているくらい、高齢化が進んでいる。
若者の意見や文化が行政に馴染んでいないというか、馴染む余地もないのだと思う。
あとは、若者は選挙に行かないものだという価値観がしっかりと根付いているのかもしれない。熱海の若者は昼間は他の自治体にいることが多いだろうし、そもそも若者の母数が少ない。
だから入場から何回も「選挙ですか?」と聞かれたわけだし、投票所入場券を持っていないことで嫌な顔をされたし、投票の際は何度も何度も念押しされたのだと思う。
SNSを見ていると、買い物ついでにフラっと投票に行こうという呼びかけを目にしたり、投票所入場券を持っていなくても投票に行けるという呼びかけを見たりすることが多く、世間ではそれが当たり前なんだと思っていたところもある。
でも、この自治体はその新しい価値観にアップデートされていないんだろうなと思った。アップデートする必要もないくらい、高齢者のまちなのだと思うと少し寂しくなった。
どの自治体に住んでいても日本国内である限り、選挙の方法に差異は生まれてはいけない。どの自治体でも同じような方法で投票ができる。
でも、投票所の雰囲気は自治体によって大きく変わるのだなと改めて感じだ。