大学授業一歩前(第84講)
はじめに
今回は主に公共政策学が専門の鈴木寛様にインタビューを致しました。お忙しい中ありがとうございました。是非皆様もご一読下さいませ。
プロフィール
Q:ご自身の専門科目とプロフィールを教えて下さい。
A:東京大学公共政策大学院や慶應義塾大学政策メディア・研究科、学部では総合政策学部で、主に公共政策学や熟議民主主義などを専門にしております。公共哲学や教育政策の授業がSFCでは人気な授業です。
オススメの過ごし方
Q:オススメの過ごし方を教えて下さい。
A:やはり本を読むことでしょうか。今までの大学生は、忙し過ぎたのかもしれません。受験勉強もまた、忙しいものだったでしょう。コロナ禍で、時間が出来たのだから本を読むには良い機会です。そして、いろいろと内省してみて下さい。山や海に、書物を持って旅をするのも良いかと思います。もちろん感染対策はしての上ですが。これを機に、ゆっくり深める事が良いと思います。
必須の能力
Q:大学生にとっての必須の能力をどのようなものだとお考えになるでしょうか。
A:探求をする力です。先行研究を調査する力ないしは、世の中の現象を自分なりに解釈をする力と言い換える事も出来るでしょう。そして、それらを表現するために、言語能力は磨くべきです。日本語でも骨太なテキストと格闘する機会を設けるのが良いと思います。表層的な学びになりがちですが、そのような学びにならないには、書籍は本当に良い機会です。最後に、抽象と具象の行き来出来る思考法を獲得しましょう。
学ぶ意義
Q:先生にとっての学ぶ意義を教えてください。
A:未知とか難問にそして、未曾有の事態に遭遇した時にパニックにならないようにするためです。学問をしていると答えの無い問題にずっと向き合っており、上記のような事態への免疫ができます。さらに解けない問題ならば、解けないなり、どのように対応をするのかその術を探求するのもまた、学ぶ意義だと思います。
オススメの一冊
Q:オススメの一冊を教えて下さい。
A:公共哲学の授業でも使用しているテキストを二冊。
マイケル・サンデル著・鬼澤忍訳(2014)『それはお金で買えますか』早川書房と、住吉雅美(2020)『あぶない法哲学 常識に盾突く思考のレッスン』講談社現代新書です。特に『あぶない法哲学 常識に盾突く思考のレッスン』は法哲学の入門書としてオススメの一冊です。
メッセージ
Q:学生へのメッセージを最後にお願いします。
A:大変な一年であったし、オンライン学習の状況が不十分だった側面も有ったでしょう。学生も教員も慣れていない中の一年でした。ですが、今後は、このような一大事が10年に一回は起こり得るかもしれない現状になっていると考える方が良いです。皆さんは想定外の事態に板挟みになる時代を生きているのです。高校までの勉強は正解がある学びでしたが、大学以降の学問は個別、暫定的な解を求めるしかないものです。
また、世界史的過渡期にあるということを認識すべきです。いろいろなものが消滅していく時代に入っています。そのような時代は若者とってはチャンスです。自分達が良いと思うものを突き詰め、自分達の周りからそれを広めて、変えていくことです。自分も周りもどんどんイノベーションをしていくと言えるでしょう。
このような過渡期は個人間でものすごく差が付きます。時代の先駆者になれるか、なれないかの瀬戸際です。歴史を今一度振り返り、科学技術の本質を掴むことで、自分にとっての善い生活を送れるでしょう。未来は予想出来なくなっているからこそ、自分で作っていく。そのためには学ぶしかありません。
おわりに
今回は鈴木寛様にインタビューを致しました。大変お忙しい中ありがとうございました。
未知とか難問にそして、未曾有の事態に遭遇した時にパニックにならないようにするためです。
このメッセージをコロナ禍の今、まさに重要になっていると思います。どの情報が正しいのか、現実は今どうなっているのか、それを見極め、未曾有の事態に立ち向かう術こそが学問だと思います。次回もお楽しみに!