大学授業一歩前(第45講)
はじめに
「大学授業一歩前」第45講は国語の教員さんに記事を書いて頂きました。👇は先生のnoteなので是非ご覧ください。
プロフィール
Q:ご自身のプロフィールを教えてください。
A:都内の私立中高で国語の教員をやっています。国語のことを発信するだけのアカウントですが、名のる程の者でもないですよっていう感じで匿名でやっています。私は18歳の大学1年生からアルバイトで塾講師を始めまして、まあ三十半ばの今に至るというか笑、国語を教えるのって楽しいな~という感触でずっとやっています。就職する際に「学校って担任とか部活とか分掌とか色々あって教えることに専念できないのでは?」という危惧も少しはありましたが、仕事中の時間の80%くらいは国語に関することをやっているので良い環境だなと思っています。これは私立の進学校寄りの学校にいるからかもしれません。
オススメの過ごし方
Q:大学生にオススメの過ごし方を教えてください。
A:背伸びをするのが若者の特権ですから、知的な意味で生意気に過ごしてください。具体的には身の丈に合わない読書をすることです。「いまヘーゲルの『精神現象学』を英訳で読んでるんだよな~」とか「やっぱみすず書房に限るよね」とか高等な書を読む俺ってかっこいい!と信じ込んで大学生活を過ごしていました。正直難しくて理解できないものばかりでしたが、高い買い物をした以上何かを得なければ!と格闘したのは良かったな。
必須の能力
Q:大学生に必須の能力はどのようなものだお考えになりますか。
A:不躾に割り入ってみる力、とでも言えばいいのかわからないですが大学にはその分野での一線級の専門家・研究者が身近にいます。その方々は社会人になると敷居の高い、中々関われない方々です。大学生の特権の一つとして、そのような教授たちの授業やゼミ、卒論指導や飲み会などを通して日常的に関われる機会がある点が挙げられます。その関わりを通して是非学問の世界に割り入ってみてください。大学生ならば多少の無礼も許されるものです。質問したり学会に参加してみたり研究室を訪ねてみたりして、その人たちの思考や環境を窺い知れることは後々の大きな財産となるはずです。
学ぶ意義
Q:先生にとっての学ぶ意義はどのようなものでしょうか。
A:らせん状の階段を上れているか?ということをよく考えます。教員って毎年、3年ごと、6年ごとなどの区分で同じカリキュラムや教材をやることが多々あります。その時に同じ教材準備で同じ授業をやっていてもそれはただ周回しているだけで自身は変われていないんです。生徒が成長しているのに自分はただそれを見送る存在になってしまうのは虚しいものです。少しずつでも学びを重ねて、同じ教材をやったときでも新たな発見やチャレンジをできる自身でありたいと考えています。
オススメの一冊
【⑤今だからこそ読んでほしい一冊】
1冊と言わず10冊(シリーズものも)!とりあえず新書は質より量こなそう!
松岡正剛『多読術』(ちくまプリマー新書)
石原千秋『大学生の論文執筆法』(ちくま新書)
内田樹『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)
内田樹 難波江和英『現代思想のパフォーマンス』 (光文社新書)
岡本裕一朗『12歳からの現代思想』(ちくま新書)
船木亨『現代思想史入門』 (ちくま新書)
橋爪大三郎『はじめての構造主義』(講談社現代新書)
小林亜津子『はじめて学ぶ生命倫理』(ちくまプリマー新書)
画像は伊藤邦武編集、山内志朗編集 、中島隆博編集、納富信留編集『世界哲学史1-古代1 知恵から愛知へ』です。 『世界哲学史1~8』(ちくま新書)
住吉雅美『あぶない法哲学』(講談社現代新書)
全て各出版社のサイトに本の画像をクリックしたら飛べるようにしてありますので、是非サイトも覗いてみてください。
メッセージ
Q:学生へのメッセージをお願いします。
A:教員という仕事はよくネガティブに語られることが多いのですが、私は楽しい仕事だと思ってます。たしかに大変なことも起こりますが、目の前に生徒がいて自分の好きな教科の授業ができて日々学ぶことがあって、ともっとポジティブに語れることがあるものです。ただ楽しく仕事するためには学び続ける必要があります。その土台を作るのは学生時代ですから、みなさんも自分が学んでいて楽しいと思えることを見つけそこで大いに背伸びをして過ごしてください。また、私のnote(https://note.com/kokugokak)ではこれからも本の紹介や国語に関することを発信しようと思いますので是非フォローしてくださいね!
おわりに
今回はご自身でもnoteを運営してらっしゃる国語の教員先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中の作成ありがとうございました。
オススメの新書をなんと10冊もご紹介していただきました。どれか一冊でもまずは実際に手に取ってみることが大事だと思います。学問の世界に入るには新書とっても便利です。次回もお楽しみに!