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大学授業一歩前(第160講)
はじめに
今回は久々に「大学授業一歩前」の投稿となります。約半年ぶりの160講は、むぐれしあ様に記事を寄稿して頂きました。是非、今回もご一読下さいませ。
Q:ご自身のプロフィールを教えて下さい。
A: むぐれしあと申します。 某大学教育学部4年(小学校教員養成系)に所属しております。卒業後はI T系の会社に就職しますが、いずれ大学(院)にまた入りたいと考えており、教育学と数学と文学の修士が欲しいです。
また、Discordのサーバー上でオンラインの勉強会「むぐむぐ勉強会」を主宰しています。主に数学や自然科学、情報科学などの理系分野の勉強をゆるくやるコミュニティで、声をかけてくれれば誰でも参加可能です。
Q:現在研究してらっしゃる内容とご自身の関心について教えて下さい。
A:広く言うと教育哲学になります。高等教育における教養教育を対象に、教養をめぐる思想について研究しています。Twitter(現X)でも教養をめぐってよくアツアツな議論がまきおこっているので、いつも興味深く眺めています。教養論以外では教育人間学という分野に強い興味があり、主に〈遊び〉について哲学的・人間学的考察を深めていきたいと思っています。
また、教育学以外にもいろいろな分野に関心があり、現代思想(デリダ)、数学(圏論)、物理学(量子論)、文学(アメリカ文学)、言語学(意味論)、人類学などが最近アツいです。万物を理解したいのはそうなのですが、総合して「〈他〉なるもの」「遊び」「物事の根幹や普遍性」「境界の超越」「人間の内的形成」といったテーマに関する興味が強いように思います。
Q:オススメの1冊を教えて下さい。
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A:勝野正章・庄井良信著(2022)『問いからはじめる教育学 改訂版』有斐閣です。 教育学にどういう分野があり、どういうことをやっているのかがとても分かりやすく書かれている一冊です。
字数が余ったので勝手に自分の専門に関連する分野のオススメの本をあげておくと、レジー(2020)『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』集英社、竹内洋(2003)『教養主義の没落 変わりゆくエリート学生文化』中央公論新社、戸田山和久(2020)『教養の書』筑摩書房、高橋英夫(1993)『偉大なる暗闇 師岩元禎と弟子たち』講談社、アラン・ブルーム著・菅野盾樹訳(2016)『アメリカン・マインドの終焉 文化と教育の危機 新装版』みすず書房、藤本夕衣(2012)『古典を失った大学 近代性の危機と教養の行方 』NTT出版などは面白いのではないかと思います。とりあえずタイトルに惹かれたものがあれば読んでみてください。
Q:ご自身が実践されている読書術について教えて下さい。
A:読書法は割とオーソドックスなものかと思います。基本章の頭から読んで、重要だと思うことに線引いたり考えたことを書き込んだりしながら読みます。 とは言え、本のジャンルによって結構読み方は変わっていて、哲学書はふつう読書ノートをWorkflowy(Wordや手書きノートでも可)でつくりながら読みます。
小説以外は気になる章から読み始まることも多いです。 小説ではなるべく遅読を意識して読みます(『遅読のすすめ』『本の読み方 スロー・リーディングの実践』参照)。一方で、ビジネス書や非専門家が書いた一般書などは速読を意識し、文章に目を通すと同時に頭の中で論理の図を構築しながら読み進めます。 結構重要なのは、本を購入したときの「この本からこういうことを知りたい!」という情熱を失わないうちにガーーって読み進めることだと思っています。
Q:最後にこのnoteを読んでらっしゃる方へのメッセージをお願いいたします。
A:このnoteに目を通しているということはそれなりに知的欲求や知的経験がある方だと思うので、そういう方がこの世界にいるというだけで自分は励みになります。 自分が言いたいのは「とにかくやれ!」ということです。知的渇望を隠そうとせず、欲望のままに知を喰らいつくす貪欲さを生涯持ちつづけたいものですね。人生は短いです。たくさん学びたくさん遊びましょう!
おわりに
今回は教育哲学がご専門のむぐれしあ様に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中、記事を作成して頂きありがとうございました。『とりあえずタイトルに惹かれたものがあれば読んでみてください』と書いて下さった通り本屋やAmazonでとにかく気になるタイトルの本は読んでみる。これが読書の一歩目だと私も思います。タイトルに惹かれたというその直観は間違ってないはず!!引き続き「大学授業一歩前」もボチボチ進めて参りますので、次回もお楽しみに!!