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営業プロジェクトが思うように進まない_解決編②

 前回から2回にわたって、「セールスというアートをサイエンスし、日本の営業をアップデートする」というミッションを掲げ、営業プレイヤー、コンサルタントを経て現在SFA/CRMを提供するマツリカでマネージャーとして活躍しながら、UNITEのセールスディベロッパーとしても活動されている中谷真史さんとの「成果を出し続ける組織を作る」プロジェクトについての対談をお届けします。

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中谷真史氏

 
 2本目であるこの記事では、実際にUNITEのセールスディベロッパー事業について突っ込んでお聞きしていきます。セールズディベロッパー事業のメニューの1つである、「セールスイネーブルメントプロジェクト」では何を実践していて、その背景にはどんなことがあるのかを紐解いていきます。

セールスイネーブルメントと呼ばれているものは何か

上田:前回までは、営業組織にマネージャーが必要になる理由や、そういった能力を持つマネージャーを採用することの難しさについて話してきました。今回は、より具体的にセールスディベロッパーと呼ばれる方々はどんなプロジェクトに入って、何を行い、どんな価値を提供しているのかということをお聞きしていきたいと思います。

 セールスディベロッパーの働きとしてわかりやすいものとして、昨今話題になっているセールスイネーブルメントがあると思います。まずはじめに、セールスイネーブルメントは日本語だとどのような意味を持っているのでしょうか?

中谷:元々日本企業でもある、営業企画と営業研修とを混ぜたようなものだと考えていただくとイメージは近いかもしれません。

上田:営業企画というと……

中谷:基本的には「営業が売れるようにする/売れ続けるようにする」ことを実現するための全てを担う仕事です。セールスイネーブルメントという概念は広まってきているものの、日本ではまだまだふわっとして言葉でしか表されていません。しかしながら、これはCSO Insightsという営業の調査研究機関が以下のように定義をしています。

「予測可能かつ営業成果を向上させるように設計された戦略的コラボレーションの仕組み」のこと。
【参考】

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https://www.csoinsights.com/wp-content/uploads/sites/5/2019/11/CSO-Insights-5th-Annual-Sales-Enablement-Study-3.pdf

 ポイントは色々な組織が関わっていたとしてもそこに一貫性があって、かつスケーラビリティがある状態を作るということです。ですので、決して営業研修のことだけを指すわけでもなければ、資料をどう共有するかという話でもありません。組織間連携と、テクノロジーによるデータプラットフォームを作ることが大切です。全ての組織間において数字やロジックをつないでいくという形です。その一部として人材育成やオペレーションの効率化を図ることでスケーラビリティを担保していくということが必要になるわけです。

営業組織に起こりがちな課題と、その背景とは?

上田:ありがとうございます。今、セールスディベロッパー事業でセールスイネーブルメントのプロジェクトリードとして動いていただいていますが、顧客に共通する背景や課題にどんなものがあると思いますか?

中谷:よくあるのは、歴が長くて優秀な人だけが売れている状態です。一般的に言えば、セールスのベストプラクティスが属人化している状態ですね。そうなると、管理者は「何をすればどのくらい売ることができるのか」が読めません。結果成長の予測がつかず営業投資もしにくくなり、企業のグロースを止めることになってしまうと言うことが多くあります。

上田:経営者としては現場から「未達」という報告だけが上がってきてが理由を聞いても結論「わからない」という事態に陥っているという相談をよくいただきます。

中谷:まさに、そう言うことです。

上田:その事態に陥っている企業がUNITEに相談する場合、まず何から始まりますか?

中谷:まずは話を聞いて、企業ごとの課題に合わせて動いていくことになります。例えば、「課題が何かわからないことが課題」であれば、商談数・受注数・リードタイム・案件単価といった普遍的な売上の構成要素となる情報をもとに課題の可視化から始めます。その情報がない場合は、データの構築から行うこともあります。そのため、セールスディベロッパーのカバーする範囲は広くなりますね。上田さんと一緒に作った「営業組織診断」を受けていただくと課題が明確になりますね。

上田:事業計画、KPIが達成できていない組織は、課題か何か不明瞭なことが多いので、その段階でもライトに相談に来ていただければいいですね。ディスカッションするだけでも価値を提供できると思います。
課題の可視化のためにデータの構築はできているのか、そこから得た数字を見て課題を抽出できているか、と1つずつ確認していく必要があるので。

 あ、もし気軽にディスカッションしたい。と思っていただけた方に、上田のスケジュールを公開しておきます。
上田のスケジュール

 課題が複数あると思われるので、そこからの優先順位の立て方や、いつまでにどう解決していくのか、と計画して実行していくところに関しても、必要になっていきますね。

中谷:実行自体は「何をどうやるか」を計画立ててマネジメントできる人さえいれば、ある程度は誰でもできることです。

上田:むしろ誰でもできる状態まで落とし込もうということですね。

中谷:そうですね、そこが一番難しくなってくるので。課題に対していつ誰が何を…と5W1Hで考えられることが重要になってきます。

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上田:先ほどの「営業組織診断」はライト版で、実際にプロジェクトに着手する際は、上記シートを使ってキックオフの段階で可能な限りの課題の可視化を行います。それを元に着手の優先順位を考えて今後の計画を作っていくので、現状の可視化がUNITEの一番最初の提供価値になりますね。

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具体的にセールスディベロッパーが担う役割

上田:UNITEが入るとなると、何ヶ月ほどのプロジェクトになるのでしょうか?

中谷:ケースバイケースではありますが、基本的には現状の把握に1ヶ月前後かかります。全体で6ヶ月以内に成果が出るまで落とし込んでいきます。

例えば、最初の1ヶ月について2つのパターンの組織が考えられます。

 ①データがなく現状が可視化されていない
 ②データはあるが、課題の抽出(及び施策立案)方法が不明

 1つ目の場合は、(受注までのリードタイムによりますが)1~1.5ヶ月をかけて分析のためのデータが取れるようにしていきます。それがあって初めてデータを分析できることができるので、ある程度あたりをつけておいた課題が当てはまるかどうかデータと見合わせていきます。当たりをつけて、よりリアルに深掘りしていくことによって初めて現状把握と課題を割り出すことができます。

上田:実際にプロジェクトを立ち上げて、成果に繋がった企業についてお話しをお聞きします。具体的にどんな課題があり、何をしていかれましたか?

中谷:まずデータを取ることに1ヶ月半くらいの時間を使いました。データが取れてすぐに課題抽出をしたところ、一番に改善すべき課題が「成約率のバラツキ」であることがわかりました。データが取れた時点で初めて分かったというよりは、検証ができたという感じですね。
トップセールスとそれ以外で成約率に大きなバラツキがあることがわかったので、実際に商談で何をしているのかを直接商談に参加して見ていくと、資料自体もプレゼン内容もバラバラであることがわかりました。そこで、商談の中身の時間配分の仕方、商談の入り方、アイスブレイク、資料の内容、プレゼンの仕方、デモの仕方まで数ヶ月かけて整備していきました。結果として、商談から提案までの歩留まりが改善されていきましたね。

上田:1ヶ月くらい可視化に時間をかけていると思うんですけど、可視化とは具体的には何をするのですか?
SFA/CRMツールを導入する過程で、必要なデータを集めていくイメージをしております。

中谷:そうですね。必ずしも可視化=SFA/CRMツールを導入すること、ではありませんが、可視化のプロセスでツールを導入することも組織拡大に必要不可欠ですので、導入を推奨しています。特に「歩留まりの可視化」はエクセルやスプレッドシートでもできないことはないですが、煩雑になり今後の運用がしにくいですね。

上田:導入して分析まで行った結果、改めて認識できたのがトップセールスとその他のセールスの各プロセスの移行率の差だったということですね。商談数自体にも、商談数に対して受注に至るまでの移行率にも大きな差があることがわかる。その乖離を埋めるために何をすべきか考えた結果として、先ほど話していただいたようなスクリプトの準備やロープレがあったということですね。実際に6ヶ月後の結果として出てくるのは、どういったことなのでしょうか?

中谷:その顧客のケースですと、歩留まり全体で30%の改善が実現できましたね。

上田:その過程で実施した内容を、より具体的にお聞かせください。

中谷:今回話した顧客では、まず始めに初回商談の設定が次のフェーズへの移行率を落としていたので、そこに注力しました。スクリプトやロープレの作成初回に話すべきシナリオの設計資料を整えることの大きく3つでした。ただし、これはあくまで一例にしか過ぎず、イネーブルメントという大きな視点で見ると、初回商談がポイントになることもあれば、全く別の部分がポイントになることもあります。そうやって異なるポイントを一社一社のお客様に合わせてフルカスタマイズをしながら、実際にセールスディベロッパーが成功までの青写真を描いていくので、お話を聞きに来ていただければ、何かしらの参考になると思っています。

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おわりに

上田:こういったお話をする中で、コンサルとの違いを聞かれることが多いのですが、説明すると「全然違いますね」といっていただけます。

中谷:コンサルとお客さんを成功に導く売り上げを上げるという意味では、アウトプットとしてすごく近しいことをしていますが、アプローチの仕方が違いますね。営業代行でもなければ、戦略を決めたり、何かを教えて終わりというわけでもありません。現状を正しく可視化して課題を抽出し、そこに対して戦略を打つマネージャーが不足している営業組織において、よりクリティカルに事業の成功に導ける可能性が高いのがセールスディベロッパーだと考えています。コンサルよりも、事業を一緒に作っていく存在だと、実際に支援をしているなかで感じています。

上田:ありがとうございます。コンサルティングファーム、そして営業コンサルティング会社を経験した中谷さんが仰る「コンサルティングとの違い」は、非常にわかりやすいですね。
今回は、営業組織が進まない企業の背景、そして実際にセールスディベロッパーが何をしているのかについてお話ししてきました。営業組織で課題感を持っている方は一度、お気軽にディスカッションしましょう!

UNITE株式会社について
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