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親方


新聞配達に起こされたかたちで明けのかたトイレに立つと隣接するアパートの一室はカーテンが開け放たれている。
夜勤明けというよりは出勤前と言った風情の身綺麗な中年男性が机に向かっている。
文芸誌の新人賞か懸賞論文かなにか推敲しているがなかなか陽の目を見ないのだろう。
そうは言っても一面識もないので初老か学生か、性別さえ知らない、ぜんぶ想像だ。という
面識もない隣人を称賛するテイ。
「御殊勝」とはこの場合、ご自身の来し方へのエール、なのかも知れない。
なお仮称の男には妻がおり、夫の故に上には上がいたと知り「夢みる夢子」をやめた。とも聞いた



もしくは、ヨエル書2:28。