魅惑のコンポストトイレ
将来、人類がもっと頼ればいいのにと密かに思っているトイレがある。それがコンポストトイレだ。
一般的に、水洗便所を取り付けるとなると、上下水道の完備もしくは浄化槽が必要だが、浄化槽の設置には最低でも80万円くらいかかる。私は下の写真のコンテナハウスで小屋を作る際に、この財政面の理由で水洗便所は断念した。
でも、その決断は正しかったと今では確信している。というのも、たかだか人類のうんこひとつ処理するのに100万円近いお金が必要な訳がないから。
そこで私は、流さずに済むトイレについて調べていた2年前に、微生物が人類の糞尿を分解してくれるコンポストトイレの存在を知り、導入した。これは、地下に掘った穴に糞尿を溜めているとウジが湧く、いわゆる「ぼっとん便所」とは異なり、まったく臭いもしなければ虫も湧かない(設置の仕方に注意は必要)。
もちろん、コンポストトイレの便座は当然ながら温かくないし、ウォシュレットも付いていないので、現代的な日本のトイレと比較して快適性という点においては劣る。けどまあ、トイレで暮らしている訳じゃないから、そこは割り切ればいいと思う。どうしてもウォシュレットが欲しければ、別の方法で水で洗えないことはない。
なお、このトイレの難点としては、気温13度以下になると微生物が活動をやめてしまうので、分解されなくなるということ。小屋を建てて一年ちょっとではあるが、「糞尿分解のためだけに暖房をつけるのもどうだか」という気分になり、冬場は使用頻度が減っている。
でも、コンポストトイレは未来的なトイレだと思う。微生物の力で分解できて、臭いもしないなんて素晴らし過ぎる。分解された物は肥料として活用できる(まだやったことがないが)。排泄物をどこか公共の場所の土に埋める訳でもないので、他人に迷惑もかからない。
私は、カナダで1970年代に開発し、それ以来コンポストトイレ開発一筋のメーカー「Sun-Mar」の製品を購入した。日本では「庭仕事ひろば」さんが代理店になって扱われている。購入前に質問してもとても丁寧にご回答してくださり、急ぎで購入したいというわがままにも対応いただき、感謝している。
これを高層ビルや大規模商業施設の中のトイレに採用するのはあまり現実的ではないだろう。けど、一般家庭や仮設住宅、キャンプ上、学校や小さな駅、農場なんかであれば、アイデア次第で活用のしようがあると思う。
特に水を引くのが大変なところでは活躍が期待される。しかも無駄になるものが何もない。
なんというか、微生物が、人類の落とし物に、わっさーっと寄ってたかって分解していくところを想像すると、なぜかワクワクしてしまうのは私だけ??というか、なんだかだんだんトイレで生き物を飼っているような気分になってくるから不思議だ。微生物は目に見えないペットであり、トイレに行く=エサをあげる、みたいな感じだ。
いや〜、微生物の世界は深いロマンに満ちている。