大学時代の寮生活の一幕(500文字)
小生が通った某大学の陶芸の里に位置するとある寮では、工学部農学部移行組まじえ300人程度の学生が暮らしていた。
始め二年間位は二人相部屋でもうそこら辺から共同生活にどっぷり浸かることになるのだが、寮全体のコンパの夜(年二回くらいだったかなもはやうろおぼえ)があり、その夜は「ストーム」と叫びながら一升瓶を持ち廊下を酔いが回りもはやもののけと化した輩が同族徒党を組み練り歩き、各部屋のドアを叩き押し入り日本酒その他を強要する風習があったりもし(もののけとはいえ人の子。多少加減はする)。
ある晩、ドンドンドンっ「スト~~~ム」と、もう本当に勉強ばっかりしてる人と評判芳しいガリ勉君の部屋に押し入ってみると、そうであろうの小ぎれいに整頓の行き届いた部屋で、そのまっさらな壁面の中央に、墨で「こころのささえ」と書かれた、筆による自筆であるらしいよくあるサイズの習字紙が画鋲で凛と貼ってあった。
酔っぱらって闖入しそのどこかにカチンときたらしい生来の変わり者、理学部A田は「何だこの良く分からぬものはああっ」と当然酔っぱらっている勢いもあり、引っぺがさんと壁に手を伸ばした。
ガリ勉君は予想せずにいた事態に直面、その時、声を荒らげ叫んだのだ。
「やめろおぉぉーっこころのささえなんだあぁ~~~。」
察した一同、そんなモン「こころのささえ」にできるガリ勉君、将来大成するよと酒を囲み励ますことになった。
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