デメリットから考える会社制服の必要性
1986年に施行された男女雇用機会均等法がきっかけとなり本格化した企業の制服廃止。その後の不況で経費削減の必要性から制服廃止が加速、今では私服で仕事をしている人も特にめずらしくなくなりました。そんな時代にもかかわらず、私の属するユニフォームアパレルは自分たちが販売している都合もあり、企業制服・ユニフォームの必要性やメリットばかりを猛アピールしていますが、何事にも良いことがあれば、その一方でデメリットもあるものです。というわけで今回は私が考える制服導入の最大のデメリットから必要性を考えてみたいと思います。
制服のネガティブなはたらき
共立女子大学教授の小林茂雄氏は著書「装いの心理〜服飾心理学へのプロムナード〜」の中でこう述べています。
制服は集団のシンボルであり、その集団のメンバーであることを明示している。制服の着用者は私的なものを抑圧し自分の行為をコントロールしがちであり、個性の自由な発達の妨げになる。このはたらきは制服のネガティブなはたらきであるといえる。
着せる側の考え方で変わる制服の意味
実はこの”個性をコントロールする働き”ついては賛否が分かれる傾向があります。というのも、もし会社の社長(着せる側)が、「社員は私の言うとおりに動いてくれればいい。余計なことはするな」という経営方針であればメリットとなりますし、逆に社長にはない新たな発想や自分で考え行動することを社員に期待しているのであればデメリットとなるからで、着せる側の考え方でどちらにもとれる働きだからです。
みんな同じを好む国民性と制服の関係
私自身はこの制服の働きをデメリットと考えていますが、みなさんはいかがでしょうか。ちなみに自由な発想が得意なアメリカには制服は存在しません。なんでも自由にすれば良いということではありませんが、日本で新たな発想が生まれない(育たない)ことと制服を好む国民性は無関係ではない気がしています。
心理面以外の必要性
制服が着用者の心理面にもたらす影響として”個性をコントロールする働き”をご紹介しましたが、このような心理的な効果の一方で、制服には「着用者の身体の保護」「作業の快適性の向上」「識別性」などの実用的で大事な用途があります。寒い場所ではより暖かく、暑い場所ではより涼しく、汚い場所では汚れを防ぎ、危険な場所では怪我を予防します。
心理面の効果ばかりを語る販売業者
制服販売業者に会社制服の必要性を聞くと、ほとんどの業者が心理面の効果を強調します。確かにそれも大切なことではありますが、識別性や身体の保護、仕事の快適性などの実用性はそれ以上に大切なことではないでしょうか。
実用性が語られない理由
では、なぜ実用性があまり語られないのか。これには大きく2つの理由が考えられます。まずひとつは販売者が繊維や衣類の機能性を理解していないこと。そしてもうひとつは販売者が着用者の職業(作業環境)を深く理解していないこと。つまり販売側の勉強不足が原因で普段着とは違うユニフォームアパレルのウェアの快適性を具体的に語ることが出来ないのではないかと私は考えています。
まとめ
今回、デメリットから制服(ユニフォーム)の必要性を考えてみましたが、皆さんはいかがでしたでしょうか。あ、念のために申し上げますが、決して制服・ユニフォーム販売業者をディスるつもりはございません。あくまで今回は制服・ユニフォームの必要性のお話で、具体的な実用性があまり語られていない現実が少しもったいないと感じているだけです。かくいう私もまだまだ理想には程遠い状態ですので、きっと引退するまで勉強しつづけることになるのでしょう・・・がんばります。
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