【ショートショート】忘レ袋
最寄り駅の近くにあるこじんまりしたガラクタ屋で、「忘レ袋」と書かれたボロボロの小さな麻袋を見つけた。なんとなく気になって、手に取ってあれこれひっくり返して見てみたが、どこにも値札がない。奥でふんぞり返って新聞を読んでいる主人に聞くと、こちらに見向きもせず、指を三本立てて見せた。
切り出した木の板をそのまま横たえたような大きな木のカウンターに千円札を三枚置くと、主人は千円だけ抜いて小銭をバラバラとカウンターに置いた。五百円玉が一枚と百円玉が二枚。どうやらさっきの三本指は三百円と