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堺包丁〜ものづくり見学記
大阪へ…
子供と二人で二泊三日の大阪旅。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンも良いけど(正直に言うと、親としては別に良くはない。高すぎるし、混みすぎだ。さらに、この時は絶望的に暑かった)、めったにない機会なのだから、その地でしか出会えず、生活の中に持ち帰れるものを見つけたい。
『何かおもしろそうなものないかなー』とネットを見ていたら、、
おお〜!
堺市で包丁づくりの見学をやっているではないか!!
面白そうすぎる!
最近は手抜き料理しか作らないが、シロウトでも切れる包丁は好きだ。
良い道具で作業すると、ちょっと上手くなった気分になれたりする。
一生ものの道具がどうやって作られるのか垣間見られたら、旅がもっと特別なものになるだろう。
だが、案内をよく見ると、ほとんどの工場は一週間前の予約が原則。
電話に出ないところや(日曜だから店舗がないところは仕方ない)、インスタで連絡するところなどいろいろだが、結局最後に電話した堺刀司という問屋さんがOKしてくれた。有料だけど、USJにお金払うよりはずっといい。
阪堺電車(路面電車)
そんなこんなで、関空に南下する道すがら、歴史ドラマによく出てくる堺の町に初めて立ち寄ることになった。
天王寺で乗り換えたのは、阪堺電車。
正式名称は阪堺電気軌道株式会社。
な、何て読むんだ…(はんかいでんきどうかぶしきがいしゃ、らしいです。)
これがまた、想像を遥かに超えた、素晴らしい路面電車だった。まず、一台一台色も形も全く違う。
そして、どこまで行っても230円(子供は120円)。乗り遅れそうな人が走ってくると待ってくれる。
この電車に乗せてもらうだけでも、旅情が爆上がりする。鉄じゃなくても惚れてしまいそう。
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阪堺電車は、普通の道を乗用車と肩を並べて走る。町の生活に手が届きそうな錯覚。ちゃんと信号で止まる。素敵すぎです。
路面電車にのること30分。
目的の堺刀司さんに到着。
いざ、見学。
見学の内容はこんな感じ。
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息子は包丁にそれほど興味はないが、刀が好きだ。
そして、堺刀司さんは期待通り日本刀も扱っていた。笑
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案内してくれたお兄さんは、鉄を含んだ岩を手に取って
「これを解かすと、上澄みと、真ん中と、最下層に分離します。刀には粘りがあり、不純物がない上澄みを使います。真ん中の層は包丁などの刃物、最下層はその他の鉄器に使います。刀に使う鋼はとても貴重なものなので、日本刀一本作ると、普通に家一軒分ぐらいの値段になります」と話してくれた。
それでも注文はあるのだそう。
どんな人が注文するんですか?の質問には答えて貰えませんでした。
資料館には本物の火縄銃もあり、特別に触らせてくれた。こちらは日本刀よりさらに重い。これに弾を込めて撃っている間に敵にやられそうです…
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刃を研ぐと、鋼に含まれる炭素が燃えて火花が散る。
そして、体験。
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最後は研ぎ体験。
『基本のキだけです』とのことだったが、今まで正式に習ったことがないド素人にはこれくらいでも良いか。試し切りしたかったなぁ。
砥石は削るためにあるのではなく、摩擦で生じる泥の粒子で磨くイメージ。
だから水分がないとダメだし、泥を流してもダメ。
やさしくなめらかに転がしてあげるだけでOK。
角度はまず砥石に対して90度に当ててから、半分の45度にし、さらに半分の22.5度にして固定する感じ。
手の感覚が育たないと難しい。
なお、天然の砥石は現在ほとんど無い、というかめちゃくちゃ高い。天然物の良いところはいろいろな大きさの粒子が含まれているので、1つの砥石で磨くことができることなのだそう。京都など、いくつか有名な産地があったが、今は山を削れないのでほとんど採れない。
人工物の方が粒子が均一なので扱いやすい。
最後に…戦利品(おみやげ)
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鋼の和包丁を管理できる自信はまだ無く、
ステンレスのパーリングナイフを購入
前から欲しかった形。研ぎながら大事に使おう。
最後に、自分と義母にお土産を買って終了。
戦利品が今後どれだけ働いてくれるか。
ジャガイモやトマトの皮むきで試しましょう。