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あたしのソレがごめんね

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右腕がない姉と、姉につくはずの右腕が股間についてしまった妹の双子の小説です。
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2019年3月の記事一覧

あたしのソレがごめんね⑩

あたしのソレがごめんね⑩

第十章 ーパンドラの升ー

私が「うるさ」と言った翌日、朝美は高校に入って初めての期末テストで学年一位をとった。
私はさして驚かなかった。
朝美はもともと出来る子だとよくわかっていたから。
私が感情を閉ざして後退していく中、朝美はどんどん新しい世界の扉を開けていく。

私たち双子はまるで陰と陽だ。ボールが空に高く弾んでいけば影が小さく薄くなるように、朝美が自己実現するほど私は自分が何者なのかわから

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あたしのソレがごめんね⑪

あたしのソレがごめんね⑪

第十一章 -告白-

「蛾次郎くん。私、家族以外に誰にも言ってない秘密があるの」
私はそう言うと閉店している貸しボート屋に蛾次郎くんを連れ込んだ。
薄暗い小屋の中を夕焼けが頼りなく照らす。

「朝美の腕、無いと思うんだけど、右の」
「お、おう」
独特の緊迫感の中で向かい合う。他人が見たら愛の告白だと思うだろうか。
「実は、私についてるの」
「えっ」
これは、そんな生半可な告白じゃない。
「私が恥ず

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あたしのソレがごめんね⑫

あたしのソレがごめんね⑫

第十二章 -恋敵-

その日、夕希は別人かと見まごうほど艶っぽくなって帰ってきた。
少し紅潮した頬は夕希の顔立ちの良さを引き立てていたし、泣きはらした後のように赤みを保った瞳でさえ色気が感じられた。
実の姉であるあたしでさえ少し息を飲んでしまうような美しさだった。

それから夕希は高校でも堂々とするようになり、もうクラスで彼女の陰口を言う者は誰一人としていなかった。
いつにも増して夕希に告白する男

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あたしのソレがごめんね⑬

あたしのソレがごめんね⑬

第十三章 ー転機ー

蛾次郎くんがソレを握って泣いたあの日から私は自分のすべてを肯定できるようになった。
今まではかわいいとか美人とか言われても股間から腕が生えてる人間が美しい訳がないと聞く耳を持たなかった。でも好きな人がこの珍妙な腕を包み込んでくれて、私自身も初めてソレを受け止めることができた。
そこからの私はもう、ほとんど無敵だ。

蛾次郎くんにソレを見せた話をすると、朝美は泣いて喜んでくれた

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