
読書はしなければいけないものか
先日電車の待ち時間に本屋に寄ったら「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」というタイトルに釣られてこの本を買ってみた。
この本で印象に残ったこと
ここでは事細かにこの本の中身を解説したいわけではないから自分が印象に残ったところだけ抽出する。(著者は自分が抽出した部分にフォーカスを当てたいわけではないことを補足しておく)
読書は、労働のノイズになる
現代の労働環境のなかで働いていると、いかに市場に適合できるかを求められる。
就職活動や転職活動、あるいは不安定な雇用のなかで成果を出すこと。どんどん周囲の人間が変わっていくなかで人間関係を円滑に保つこと。それらすべてが、経済の波に乗り市場に適合すること――現代の労働に求められる姿勢である。
適合するためには、どうすればいいか。適合に必要のない、ノイズをなくすことである。 「片づけ本」がまさに現代で示す「断捨離」が象徴的であるが、ノイズを除去する行為は、労働と相性がいい。自分自身を整理し、分析し、そのうえでコントロールする行為だからである。 コントロールできないものをノイズとして除去し、コントロールできる行動に注力する。そ れは大きな波に乗る――つまり市場に適合しようと思えば、当然の帰結だろう。 だとすれば、ノイズの除去を促す自己啓発書に対し、文芸書や人文書といった社会や感情について語る書籍はむしろ、人々にノイズを提示する作用を持っている。
現代において「自分に関係ない知識」はノイズ
明治~戦後の社会では立身出世という成功に必要なのは、教養や勉強といった社会に関する知識とされていた。しかし現代において成功に必要なのは、その場で自分に必要な情報を得て、不必要な情報はノイズとして除外し、自分の行動を変革することである。
そのため自分にとって不必要な情報も入ってくる読書は、働いていると遠ざけられることになった。
つまり、1980年代以前に長時間労働に従事する人々が本や雑誌を読めていたのは、それが労働や社会的地位上昇の役に立つ「知識」を得る媒体だったからだ。しかし1990年代以降、労働や成功に必要なものは、自分に関係のある情報を探し、それをもとに行動することとされた。
概要を知りたい人は以下の動画で要約されているので見てみてください。
読書離れというのは嘆くものなのか
自分がこの本を読んだ後に気になったのは世間一般で言われている「読書離れ」というのは嘆くものなのか、ということだ。
個人的結論は「読書離れ」は実際あったとしてもそれを嘆いているのは出版業界であって、一般人が気にするものではないということだ。
この本にも書いてあるが、昔は労働や社会的地位上昇するために必要なのは知識であり、だから本を読んでいた。
ただし現代で労働や成功に必要なのは、自分に関係のある情報を探し、それをもとに行動することである。知識はネットにも転がっている、それを活用する術が重要、ということだ。
ということはその情報を得る方法は別に本でなくてもよく、ネットでもよい。
では仕事に関連しない部分ではどうかというと、エッセイを読みたいのならばブログを読めばいいし、歴史を知りたいならばyoutubeを見ればよいだけであって、媒体が変わっただけである。
最初にも書いたが読書離れというのは出版業界が売上げが落ちてきて嘆いているだけであり、一般人には全く関係ないものである。だから別に読書はしなければならないものではない。とはいえ読書でしか得られない価値、というのはある。
著者も危惧しているが、問題の本質は仕事にコミット(注力)しすぎていて、本当にやりたいことができていない、ということである。
半身で働く
だからこの本では「半身で働く」ということを提示している。半身で仕事に触れることで、余裕ができ、もう半身で別のことに触れられる。全身で働くと燃え尽き症候群になる。だから適度でいい。何事も半身でほどほどでいいのでは?この本では半身労働社会として「週3勤務、兼業、持続可能、ジェンダーフリー」を掲げている。では半身で働くことが本当にいいのか。
自分はどうしたいのかを考える
個人的には「半身で働く」というのは理想論にも感じてしまう。著者は会社を辞め、批評家となり、本をゆっくりと読むことができる(半身で働ける)ようになったが、それは好きを仕事にできたからだと思う。趣味を仕事にした人は、半身で働いている人に該当するのだろうか。
子どもを持ち、家庭を守らなければならない人にとってはそんなリスキーなことできない。であれば仕事を好きになって「仕事を趣味」にすれば、やりたいことができているのでは、とも思ってしまう。
要は趣味を仕事にするのか、仕事を趣味にするというのは「ニワトリとタマゴのどちらが先にできたのか」という問題と同じである。
結局は自分のキャパシティや能力を考えて、自分はどのようにしたいのかを考えるのが重要だと感じる。
そういう意味ではこういう考え方があるのか、とこの本を読んで学べたのは、とてもいい機会だと思う。あと単純に本として面白かった。そういう意味では読書はしなければならないものではないが、したら楽しいものである。
自分はやっぱり今のうちに無理せず働けるだけ働いて、40歳くらいには半リタイアして不労所得とコンビニバイトだけで生きていきたいなあ、と思うのでした。。。
保有資産状況
ちなみに2024年7月14日時点で資産が2,800万円を超えました。3週間前が2,600万円くらいで、その後給与とボーナスが入り、あとは株が60万円くらい増えたっぽいです。
クレカ引落しとか、株購入費用で70万円くらい引かれるから、実質2,750万円くらいですかね。
今年3,000万円超えたら脱毛いくぞ~!
