プラド美術館一番人気はあの絵ではなかった!ダリも影響されたあの絵
マドリードのプラド美術館と言えばベラスケス、ゴヤなどのスペイン人画家やスペインで活躍したエル・グレコなどのコレクションで知られる言わずと知れた世界でも有数の美術館。
プラド美術館は珍しく写真撮影が禁止されているので、印象的な絵以外は何を見たか記憶が曖昧でになりますが、写真を撮らずに鑑賞するのも悪くないです。
今回は、プラド美術館を訪れてみて面白かったことをここで書こうと思います。
プラド美術館の名作の数々
ピカソも刺激したプラド美術館で最も有名な絵
プラド美術館と言えば、ベラスケスの「ラス・メニーナス」が恐らく一番有名な作品なのではないでしょうか?スペインに住んでいてもこの絵は度々目にします。
ピカソはプラド美術館を訪れ、「ラス・メニーナス」を自信の目で見て、独自解釈した「ラス・メニーナス」を多く描きました。
白黒のピカソの「ラス・メニーナス」。これらはバルセロナのピカソ美術館の常設展で見ることができます。
今回、「ラス・メニーナス」は見たいと思っていましたが、有名な作品なので混んでいるだろうと思っていました。ところがびっくり、なんと部屋にはいったら「ラス・メニーナス」の前に誰もいない!見終わるまでひとり占めできて嬉しいと共にちょっと意外でした。
ゴヤの名作の数々も
ゴヤの名作の数々もありそのコレクションは素晴らしいです。「裸マハ」と「着衣のマハ」。2作品並んで展示されています。多くの美術系小説を書いている作家、原田マハの「マハ」というペンネームはこの作品が由来だとか。
インパクトがありすぎるゴヤの「息子を食らうサトゥルヌス」。
イタリア人画家の作品も並びます。カラヴァッジョの「ゴリアテの首を持つダビデ」。ちょうど修復されたばかりらしく、きれいな状態で見ることができました。
ベルギーやオランダなどの画家の作品も。ルーベンスの「三美神」。
印象に残る素晴らしい絵画がいくつもありました。
プラド美術館で一番人気だった絵画
そしてプラド美術館で人だかりだったのが、オランダ人画家、ヒエロニムス・ボスが描いた「快楽の園」。16世紀初めに描かれたとされる3面ある祭壇画で、エデンの園、天国と地獄を描いた大作です。
幻想的で不思議なシーンが多く描写されていて、中にはロケットのように見えるものもあり、とても16世紀の作品とは思えません。
細かい描写をよく見ると、「えっ、 これって正しくダリ!」
あまりの類似にビックリしました!
シュールレアリスムに影響与えたボス
プラド美術館をそれぞれ訪れたダリとミロは、この『快楽の園』を見て感銘を受けたそうです。
ミロが描いた『耕地』は鳥の群れ、水面から顔を出す生物、肉体を持たない巨大な耳など『快楽の園』とよく似たエレメントが描かれています。
そして、ダリのシュールレアリズムの作品は正しくボスの影響があちこちに見受けられます。ボスの「快楽の園」とマドリードのソフィア王妃芸術センター所蔵のダリの「The Great Masturbator」を比べてみると…(右のダリの作品は90度回転させています)
昆虫から成る人の顔で類時点が多くそっくり!ボスの「快楽の園」は細かい描写が多く、間近で見ないと何を描いているか良くわかりません。そのため一番人だかりができていたのでしょう。
どんなに新しいアートと言われても、必ず既存のものにインスピレーションを受けていることを改めて実感しました。16世紀の絵画と4世紀時を超えた20世紀の絵画がこれだけ似ているのも面白く、そしてボスがいかに革新的で今見ても新しいことに驚かされます。彼の絵は当時人々にどのように捉えられていたのでしょうか?
過去のスペイン王のお気に入りの画家なのか、この後王室エスコリアル修道院でもボスの絵にお目にかかることになります。