とにかく壮観!世界遺産、南イタリア・マテラの洞窟居住区
前回は南イタリア有数の軍・商業港タラントでした。
そもそもタラントに寄った理由はマテーラに行くのに便が良いから。この地方の観光地といえばアルベルベッロもありますが、かなり観光客が多そうなのと、イタリア滞在が予定より長くなってしまったため時間の関係で断念しました。
マテーラまではバルセロナでもおなじみの格安バスFLIXBUSを利用しました。これがレッグルームが広く快適で、バルセロナでも利用したい!と思うくらい。
個人的には電車の旅が好きですが、南イタリアは電車の便が良くないのが残念でした。
世界遺産のマテーラ
マテーラ(Matera)の中心には、グラヴィーナ渓谷があり、その斜面の岩肌を掘って造られたサッシ(Sassi)と呼ばれる洞窟住居地区があり、世界遺産に登録されています。
洞窟住居は3000から4000もあり、渓谷の岩肌を何層にも埋め尽くしています。サッシに人が住み始めたのは旧石器時代と言われているそう。
1950年代までにサッシは貧困層が住むエリアとなり、イタリア政府は住民のリロケーションを試みましたが、多くの貧困層の人々が住み続けたそう。1980年代までサッシは貧困地区として知られ、当時ほとんどの洞窟住居は居住不能というほど状態が悪く、今でも一部居住不能の建物が残っているそうです。80年代までは「イタリアの恥」とまで言われたそうですが、今では観光地として生まれ変わっています。
最近では、2021年に公開された007シリーズの「No Time to Die」で大々的にマテーラが登場しています。
マテーラのまち歩き
新市街(以下衛星写真、下部)から続いて真ん中に大聖堂などがあるチビッタ地区があります。サッシはサッソ・バリサーノ地区(写真、左手)とサッソ・カヴェオーゾ地区(写真、右手)に分かれていて、この2つの地区は谷になっているため、新市街やチヴィタ地区より大分低くなっています。衛星写真上部はグラヴィーナ渓谷。
まずは左手のサッソ・バリサーノ地区から歩きます。
サッソ・バリサーノ(Sasso Barisano)地区
市庁舎にある観光局に行くと、サッシはすぐ目の前とのこと。市庁舎前広場に立つと古い建物はありますが、サッシと思えるところは見当たりません。グラヴィーナ渓谷はどこに?
ところが正面に見える建物群の反対側にサッソ・バリサーノ地区が広がります。展望できるバルコニーから見るとこの通り!左上にチヴィタ地区の大聖堂が見えます。
ここから谷に向かって降りていきます。
違う世界に行くようでちょっとした高揚感が。
降りてみると意外と通りは空いています。
サッソ・バリサーノ地区は、1993年にサッシが世界遺産に指定されてから、比較的早く修繕や整備がされたとのこと。ブティック・ホテルやアーティストのアトリエなどが多く、どちらかというと洗練された雰囲気です。
どの建物も表は普通の石造りなのですが、中に入ると奥のほうは岩を掘った洞窟になっています。アーティストのショップ兼アトリエを見学したときの内部の様子。見事な洞窟でとても神秘的です。
近くに小さな教会があったので入ってみました。正面は一部岩なのが分かります。
岩を掘って作ったシンプルな教会。内部はさすが洞窟なだけあってヒンヤリとしていました。
谷底のメインストリートだけではつまらないので斜面もいくつか登ってみました。チヴィタ地区に登っていく途中にサッソ・バリサーノ地区を上から眺めるとこの景色。
奥の方にグラヴィーナ渓谷とサンタゴスティーノ修道院(Convento di Sant'Agostino)が見えます。
建物が斜面にへばりついているように見えて、圧巻です。
グラヴィーナ渓谷の景色も素晴らしいです。
向こう側にはいくつもの洞窟が見えます。恐らくこちらも遠い昔は人が住んでいたのでしょう。
そのまま渓谷に沿って歩いていくとサッソ・カヴェオーゾ地区にたどり着きます。
サッソ・カヴェオーゾ(Sasso Caveoso)地区
サッソ・カヴェオーゾ地区は、整備や修繕が遅れ、今でも居住不能の建物が残り、洗練されているサッソ・バリサーノ地区に比べて荒れているということでしたが、あまりそういう印象は受けませんでした。ここ何年かで整備が進んだのかもしれません。
正面の高台にある岩はサンタ・マリア・デ・イドリス教会(Chinesca di Santa Maria de Idris)。ゴツゴツとした岩が見事です。
とにかく感動の眺め!
少し離れて眺めると渓谷の緑が映えます。
谷底のメインストリートから上を見上げます。
サンタ・マリア・デ・イドリス教会の辺りは飲食店もチラホラあり、サッシで一番賑わっていました。
少し上に登ると人も少くのどかです。
レストランやバルのある辺りの何軒かのお店の外には巨大なパンが飾ってありました。なんでもマテーラ名物のpane di Materaというパンだそう。残念ながら試す機会はありませんでした。
最後に日が暮れる頃に高台に行ってみると、感動の夜景!
サッシはとにかく歩いているだけで、違う時代にタイムスリップしたような気分になります。
チヴィタ(Civita)地区
最後にチヴィタ地区へ。新市街とほぼ同じ高さにあるチヴィタ地区は、大聖堂やその他教会、飲食店などが並びます。
大聖堂はそれほど大きくはなく、意外と観光客は少ないです。
ライオンでしょうか?それとも猿?
見事なファサード。
他にも見事な教会がいくつか。
こういう趣のあるパッセージ、好きです。
サッシに比べると地味ですが、こちらも楽しめました。
サッシのネコたち
そして、サッシにはネコが沢山いて、恐らく今回のイタリア旅行で一番多かった町。
くつろぐ3匹のネコ。
こちらにも3匹。
お行儀よく座るトラ。
とってもフレンドリーで、しばらく一緒に遊びました。
警戒心の強いネコも。
サッシの斜面は観光客も少ないので、ネコものんびりくつろいでいます。
何を見ているのでしょうか?
ネコでホッコリ、景色に感動と、マテーラの町をすっかり気に入ってしまいました。新市街も洗練された雰囲気で、廃れたエリアもなく安心して歩け、良い印象しかありません。
イタリアの世界遺産は激混みのところが多いですが、マテーラはそれらに比べるとずっと空いていて、行列などもないためストレスフリーでより楽しめました。
次回はイタリアの最後にバーリへ向かい、バーリからはようやくギリシャに渡ります。