アンリ・マティスを刺激したチャーミングな海辺の町、仏コリウール
フランスのスペインとの国境に近い地中海に面したコートヴェルメイユ(Côte Vermeille)という海岸沿いにある小さな町、コリウール。
前回はバルセロナからこのコリウールまでの道のりでした。
今回はコリウールの紹介と町歩きです。
フォービズム発祥地のコリウール
1905年の夏、アンリ・マティスがコリウールでの家族とのバカンスに画家のアンドレ・ドランを招いたそうです。そしてマティスもドランも地中海沿いの光の眩しさとコリウールの町の風景に刺激され、実際肉眼で見る色と異なる明るい色彩で抽象的な絵を描きます。
マティスが描いた窓から見えるコリウールの町。
ドランの描いたコリウールの山。
その年、パリのサロン・ドートンヌの展覧会に出展された両者の絵を見た評論家はそのスタイルに衝撃を受け、野獣を意味する「Les Fauves 」(フォービズム、野獣派)と名付けます。
そんなマティスやドランが影響を受けたコリウール、どんなところか気になりませんか?
ビーチからの眺めが素晴らしい!
新市街から眺めた旧市街。左の王宮、右の丸いドームの付いたタワーが印象的です。
ワイン生産がさかんなこのエリアだけあって、山の斜面にはブドウ畑。お城と風車も見えます。
新市街も高い建物はなく、小さい建物が並びます。景色が良いのでこのビーチで泳ぐことにしました。
フランス人が多かったですが、北欧の人たちやイギリス人もちらほら。北欧の子供たちは首も隠す帽子に、パンツ、シャツを着てシューズを履き腕に浮き輪を付けて海に入っていきます。日焼け防止などのよう。スペインでは見ない光景なので面白いです。
ビーチからはこの眺め!王宮が特に圧巻です。
ビーチ沿いの遊歩道もスペインよりあか抜けていて明るいです。
旧市街の真ん前にもビーチがあります。バルセロナ辺りだとコスタブラバが特に水がキレイと言いますが、コスタブラバからちょっと北に行ったところなのでこちらの水もやはりきれいで、大小の魚が良く見えます。
狭い路地にお店が並ぶ旧市街
旧市街はアトリエやお土産屋さんが並びます。雨戸が南仏の雰囲気です。
どこを切り取っても絵になる町。
海沿いはカフェやレストランが並びます。ランチメニューはどこも軽く30ユーロ越えのリゾートプライス。
この辺りは実はフランスのカタルーニャ語圏。カタルーニャと言えば、バルセロナのあるスペインの州ですが、カタルーニャはフランス側にもあります。そしてびっくりすることに食べ物も大体スペインと同じ!イタリアのサルデーニャ島でもスペイン・カタルーニャ料理ばかりでびっくりしましたが、ここでも。
要塞もいい雰囲気の旧市街。
バカンス真っ只中!という雰囲気で多くの人が訪れていました。
要塞や王宮を海を背景に見ると、ベネチア支配下だったクロアチアのドブロブニクを彷彿させ、イタリアのような雰囲気もあります。
旧市街の街並みはとにかくどこもキュートです。
アンチョビのお店がたくさん!
どうやら町の名産はアンチョビらしく、アンチョビの瓶詰などを売るアンチョビ専門店がたくさんありました。マティスが訪れたころは「漁村」だったそうで漁業が今でも盛んなよう。
アンチョビ・バーも。気になりましたが、スペインも北部カンタブリア州のアンチョビが有名で国内どこにでも売っている魚なので見るだけにしておきました。
アンチョビ祭りもあったようです。
とにかくチャーミングなコリウール。マティスの時代とは人の数といい、店の数といい天と地の差でしょうが、温暖で日差しが強く、独特のカタルーニャ文化もあることからパリから来れば異国情緒も感じ取れたことでしょう。そんな中で描くと絵がパッと明るくなるのは頷けます。
7時間ほどの滞在でしたが、町中にワイナリーもあり、ビーチに行って町をウロウロしてあっという間に時間が過ぎてしまいました。
次回はコリウールの市場を訪れます。