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007/もっともイカれた奴だ

まず、最初にお礼を

短期入院から帰ってきて、さては手術の報告と思ったのですが、心房細動アブレーションの術後経過が落ち着くまで3ケ月が必要なので、ここでは触れず、
「まず、生きて戻った」
とのみ、お伝えしておきます。
入院中はあたたかいお言葉をいただき、ありがとうございました。

今回の入院では、仕事で書いているメルマガの告知コピーをリニューアルしようと意気ごんでいましたが、いつになく眠剤が効いていて、コピー制作の手順を踏むのもダルい「ホゲホゲ~」な状態が続いていましたので、かわりといっては何ですが、映画007に関する小ネタを枕に伏せて考えていました。


その時の気分によって、音楽が勝手に脳内再生される「イヤーワーム」。
わたしの場合は肯定的にとらえています。
あとになってから、その曲を聴くと、当時の思い出が紐づけられて、懐かしいような、切ないような気持にさせられることが多いですね。

「007/美しき獲物たち」のラスト、ロジャー・ムーア卿演じるジェームズ・ボンドが、逃走する飛行船からぶら下がりながら、ゴールデンゲートブリッジ上空まで連れられてくる映像のとおり、入院を控えたわたしの心境は冒険と孤独と恐怖が常に浮かんでいて、先日、それに関するつぶやきをちょろっとだけしたためておりました。

今回はその続編です。

マックス・ゾリン

「007/美しき獲物たち」の悪役はアカデミー賞俳優のクリストファー・ウォーケン演じるマックス・ゾリン

彼の野望は、巨大IT産業の社長として、邪魔なシリコンバレーの企業群を排除することで、半導体の世界市場を独占すること。
そのために、巨大地震を誘発させて、シリコンバレーごと水没させてしまおうと企てます。

加えて、彼の出自はナチス・ドイツ時代のステロイド研究に端を発した試験管ベビー。超天才と言える頭脳を持ち洗練された佇まいの一方、極めて残忍な、性格に歪みのある人物として描かれています。

手下の扱い

ドクター・ノオからノータイム・トゥ・ダイまで007作品の中で、様々な悪役が登場し、消えていきました。

目的遂行のパターンとして、大まかなところは手下に実行させ、最後に自ら手を下す、または指示するパターンがほとんどです。全て、ボンドの活躍より計画はとん挫するのですが、いよいよ手詰まりになると手下の扱いは大体以下のパターンに分かれます。

  • 自分は参戦せず、手下が応戦している隙に逃亡
    007は二度死ぬ、私を愛したスパイ、ムーンレイカー、リビング・デイライツなど

  • 手下と一緒になって応戦
    ドクター・ノオ、ゴールドフィンガー、サンダーボール作戦など

  • 手下を当てにせず一騎討ち
    死ぬのは奴らだ、黄金銃を持つ男、ダイ・アナザー・デイなど

  • 疑心暗鬼になって幹部の粛清に走る
    消されたライセンス

ところで、007リブート版とも言えるダニエル・クレイグ主演の作品は、時としてボンドが敵に屈しながらも、最後は戦略的に勝つみたいなプロットがあって、パターンからの脱却が伺えます。

やっぱり、いちばんイカれている

前述のマックス・ゾリンは自分は参戦せず、手下が応戦している隙に逃亡のパターンに入りそうだと思いましたが、その過程が全く異なるのです。

悪事の最終仕上げ段階に入った大団円で、その虚をボンドに突かれて、計画やらアジトやらが崩壊してゆき、応戦する中で、結果的に悪役は手下を失いつつ孤立していく…
これが従来のパターンです。

が、マックス・ゾリンはプロセスが全く違います。

  • 事を成す前、手下の大量抹殺を最初から織り込む

  • 「あはは~」と笑いながら、何も知らない丸腰の手下に自ら発砲しまくり

  • 自らと同じ出自を持つ、愛人兼ボディガードも簡単に切り捨て

など、味方の口封じと殺人快楽のために、粛清ありきの計画を実行した、まさにナチュラル・ボーン・キラーの先駆けのような悪党でした。

汚物は消毒だ~

ボンドと一騎打ちの果て、ゴールデンゲートブリッジの鉄塔から落ちる今際も

「うそだろ~?」

と言いたげに、笑顔でワイヤーから滑り落ちていくラストシーンは、野望と悪事への悔恨や未練もなく、ただただ無邪気に絶命していく、それまでにない悪役像だったと思います。

ひよっとして、オレ、落ちるのか?

やっぱり、マックス・ゾリンが007映画の中では最凶ですね。
う~ん、こういうタイプ、お友達にしたくないです。
でも、クリストファー・ウォーケンの演技、変態チックでかっこいいですね。

それでは、お気に入りの悪役はいるのか?

と言えば…います。

黄金銃を持つ男で、クリストファー・リーが演じるラスボス、孤高のお金持ちヒットマンことフランシスコ・スカラマンガ

召使いとの奇妙な主従関係をはぐくみながら、毎回楽しそうにボンドを出し抜き、リスペクトを払いながら、最後は自分のアジトに誘い込み、一発しか発射できない黄金銃で古臭い決闘ゲームに持ち込む。

キミに同じものを感じているんだ、ボンド君

だって、「彼にとってボンドは人生最大のライバルであると共に最大のファンだった」から。

決闘を目前にして、マッシュルームのランチを楽しみ、ボンドお勧めのワイン銘柄をメモしながら、ボンドにシンパシーを感じている彼が想いを告白するシーンが気に入ってます。

さて、いかにも読者の皆さんが絡みにくいマニアックネタを今回も書いてしまいました。
これからも、病と向き合い、頑張って生き抜いてまいります。
ありがとうございます。

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