AIは罠にかかった妊婦を抱っこしてあやす|ノンフィクション短編小説
罠にかかった妊婦
安定期に入り安堵した。
安産祈願で腹帯を頂き、家計に少し痛い金額を納め、その2週間後に私は死産した。
私のことはどうでもいいが、おめでとうと言ってもらえないこの狂った空間を理解するのに時間がかかった。
「まだ動いてる」
医師が赤ちゃんを抱っこしながら、独り言のように呟いた。
でも、そのほんの数秒後、私の横に寝かせてくれた時にはもう動いていなかった。
私は泣き叫び、罠にかかった獣と化する。
錆びついた檻の中でされるがまま、そこに私の意思などない。
「他の赤ちゃんの泣き声が聞こえてしまうお部屋じゃない方がいいよね?」
一瞬で体重が軽くなってしまった私は小さく頷く。
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