広背筋のすすめ
広背筋(Latissimus dorsi muscle)は、背中の下部から脇の下にかけて広がる人体で最も面積の大きい筋であり、背中の約60%を占めている。
上半身では、上腕三頭筋に続いて4番目の体積です。
拘縮すると、肩峰が下がったり、腕の挙上が困難になる。
1.広背筋の付着と機能
⑴分類
広背筋は大きく分けて、肩甲骨部・椎骨部・肋骨部・腸骨部・仙骨部の
5つに分けることが出来る。
椎骨部は、僧帽筋によって覆われている。
2.走行
広背筋は、肩甲骨下角(2)、肋骨外側角(8)、下位6胸椎・腰椎棘突起(11)、仙骨後面(1)、腸骨稜後面(2)の24個の骨から起こり、筋束は外上方へ集中する扁平な腱で、腋窩周辺で大円筋を包み込むように前方に回り込んで、上外前方へ走行し、小結節稜(結節間溝底)に停止する。
3.機能
日常生活動作では、手で引っ張る動きや、上方の物を下方に引く動きに
使われる。
スポーツ動作では、水泳の水かき、柔道やレスリングで相手を引き付ける動き。体操の吊り輪、ボートのオール漕ぎや綱引きなど。
4.運動作用
広背筋は、肩関節を伸展・内転・内旋作用がある。
⑴肩関節の運動
肩関節の内転・伸展・内旋・水平伸展などの機能があります。また、
五十肩の要因の一つになる筋肉で、拘縮していると十分に屈曲できず、
腕が上がらなくなる。
肩関節下垂位では、停止部での筋束は捻れています。肩関節挙上位に
なると筋束の捻れは 解けて、さらに筋が伸張されるため強い筋力を
発揮することができる。
⑵骨盤の引き上げ作用
上肢を固定した場合、広背筋は骨盤の引き上げ作用(プッシュアップ
動作)が主体となります。
このプッシュアップ動作は、脊髄損傷による両下肢麻痺の症例におい
て、移乗(トランスファー)動作を行うために重要になる。
片側が拘縮した場合は、拘縮した側の肩峰が落ち、ヤコビー線が上が
り、頭部は正常位を維持するのが特徴です
(3)吸気運動
広背筋肋骨部線維は、大胸筋胸肋部線維のように上肢が固定されている
時、強制吸気筋として作用し、下位肋骨を挙上し、胸腔内容量を増加させ
る。
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