普段本を読まない自分が小説を読んでみた(10冊目『犬のかたちをしているもの』)
読書初心者として区切りとなる10冊目、今回は、フィクション小説を読みました。
基本情報の記録
タイトル
犬のかたちをしているもの
著者
高瀬隼子
出版社
集英社
あらすじ
「子ども、もらってくれませんか?」彼氏の郁也に呼び出された薫は、その隣に座る見知らぬ女性からそう言われた。薫とセックスレスだった郁也は、大学時代の同級生に金を払ってセックスしていたという。唐突な提案に戸惑う薫だったが、故郷の家族を喜ばせるために子どもをもらおうかと思案して──。昔飼っていた犬を愛していたように、薫は無条件に人を愛せるのか。
この本と自分の考えや経験との関連性
交際相手が、見ず知らずの人との間に子どもをつくるという状況もですが、その子どもが生まれたらもらってくれ?
ちょっと何言ってるかわからない。
実際こんなことがあったら、かなりの混乱で何も考えられなくなりそうです。
"複雑"であり、ユニークな状況におかれたこの女性主人公には、どこからどう視点を置いたとしても、たとえ寄り添おうと思っても、嚙み合いそうな感情の歯車は自分は持ち合わせていない。
主人公が抱えている病気のこともあるかもしれませんが、"感情不完全燃焼"なんていう、自分の中でおかしな造語が生成されてしまうほど、愛すること、子どものこと、世間の普通とされているようなことに抗っている、でも真っ向から抗うのとはまた違うように感じました。
また、主人公の心情や感情、目に見えるもの、触れるもの、聞こえるもの、あらゆるセンサーがこれほど男にとっては超がつくほど難解であることを、事例で説明されているように思えました。それもごく一例。
ただ、作中に出てきたフレーズ(感覚)を一つ共感できました。両親や兄弟、友人や同僚、世間にどう思われようが、実際に持ち得ている紛れもないその感覚を確認できたのは、自分にとって少々ほっとしたようにも思います。
実際に読んで、そのフレーズ(感覚)に共感すれば、この(何を言っているのかわからないかもしれない)文章も納得してくれるはずです。
世間にはいろんな人がいる、、、それだけのことなんだけど、それだけのことなんだけど、、、。
総合的な感想
ページ数は少なく、すぐに読み終えることができましたが、読んでいくにつれ、これは明確な答えがないまま終わるのではないか?と思いました。
というか、答えを求めようとしている(つもりはないですが)ところが、性別的、性格的にもうこの小説の噛み合わない歯車にある意味噛み合っているのかもしれません。
今読んでいる本、感想予定の本など
『52ヘルツのクジラたち』『また、同じ夢を見ていた』『アリアドネの声』『俺ではない炎上』『正欲』『噂』『花屋さんが言うことには』『死にがいを求めて生きているの』
※今後読みたいものも含む