普段本を読まない自分が小説を読んでみた(4冊目『向日葵の咲かない夏』)
今回はミステリー/サスペンス小説です。
過去の読書感想文
#1冊目『かがみの孤城』
#2冊目『方舟』
#3冊目『レインツリーの国』
基本情報
タイトル
向日葵の咲かない夏
著者
道尾秀介
出版社
新潮社
あらすじ
夏休みを迎える終業式の日、先生に頼まれて、欠席したクラスメイトにプリントなど届け物をするため、主人公のミチオ(小学四年生)は同じクラスのS君の家に行きます。
しかし、ミチオが見たのは首を吊って死んでいるS君の姿。
ミチオは慌てて学校に戻り、担任の先生に伝えます。そのあとすぐに先生や警察がS君の家に行くも、死んだS君の姿はそこにありませんでした。
一週間後、S君がとある姿に生まれ変わりミチオの前に現れます。
S君は「自分は殺された」と言い、ミチオは妹のミカとともに事件の真相を追っていく―。
読み終わって感じたこと
非現実的な部分も含め、事件の真相とこの物語の世界観も面白かったと思います。
ミステリーの部分が次第に解決していくのと、主人公を含めた登場人物たちのキャラとしての本性というか、全容がつかめていく様子も非常にユニーク且つ適度な恐怖感もあって楽しかったと思いました。
途中、「ん?これはもしや・・・」と思ったところもあったりして予想が少し当たった部分もありましたが、それはそれで結末に向かっていく中で解き明かされていく様子を存分に楽しめたと思います。
この本と自分の考えや経験との関連性
非現実的でありながら、ある種サイコパス的な面や、人が持つ多様な感覚の冷たさのような部分があったのではないかと思いました。
非現実的な設定であっても、今生きている自分の現実に当てはまるかもしれない、どこかで同じような境遇や環境がもしかしたらあるかもしれないと思ってしまうような想像をしてしまう怖さを若干感じました。
総合的な感想
なかなか頭のキレる主人公だなと思いつつ、世代設定が小学生というのが全体像をつかみやすかったように思います。
読むときの先入観というか認知バイアス的なものをどうにか取り除きたいと思いつつも、やはり物語に引き込まれてしまうせいか、終盤では「なるほど」「やられた」といったことになってしまうのは、いつの間にか魅力に取りつかれてしまっていたということでしょう。
今読んでいる本、感想予定の本など
『噂』『ツミデミック』『犯罪者』『アリアドネの声』『俺ではない炎上』『正欲』・・・
※今後読みたいものも含みます