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Beef or Chicken ? No Choices for Vegetarians ?

食肉(特に牛肉と羊肉)は環境への負担が大きいということは前の記事でも散々述べている。
要約すると、牛肉と羊肉などは、牧草地として莫大な土地を森林伐採して切り開き、大量の水と穀物などを与え(しかも、大人の体になるまで豚や鶏よりも時間がかかる)、ゲップやおならとして温室効果ガスの一つであるメタンガスを排出する。こんなに多くのものを消費しているにもかかわらず、牛肉たった1kg生産するのに、20,600Lもの水が必要であり、その量は他の豚肉や鶏肉、乳製品を生産するよりも倍以上にもなる。詳しいデータは「地球のためにレジ袋〜」の記事を見て欲しい。

森林伐採、温室効果ガスの排出、水の大量消費…他にも彼らの糞尿によって、植物が育ちにくい貧相な土地が生み出されたり、と悪影響を挙げるとキリがないが、タンパク質摂取の効率の悪さという観点も含めて肉はコスパの悪い食材なのである。

今回は、ライフスタイルとしてMeatless(お肉をあえて避ける食生活)を選択する人々が増えているにもかかわらず、食の選択肢が増えない機内食について考えてみたい。
機内食にベジタリアン食を常設化してほしいという声は少なくないのだ。

前までは「Beef or Fish?」の二択もあった気がするが、最近よく耳にするのは「Beef or Chicken?」…
誤解の無いように言うが、大体の航空会社では、出発の24時間前までなら特別食の予約ができる。その内容は、航空会社によっても異なるがイスラム教徒用、ヴィーガンベジタリアン用、糖質制限用と幅広い。
この予約システムを知っていて、さらに機内食が楽しみという人などは恩恵を受けることができる。

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(Etihad Airwaysで頼んだラクトオボベジタリアンミール [ VLML ] は2食ともパスタだった笑)

だが、世の中そんな人ばかりでは無い。出張は会社がまとめて予約するだろうし、乗り継ぎで複数の航空会社を利用すれば予約が多少複雑になるだろう。宗教の信者やヴィーガンベジタリアンなどではなく、可能な限りベジタリアンでいようとするフレキシタリアンにとってはあまり機内食は重要ではないかもしれない。
大手のフルキャリア航空会社であれば、さすがにお肉以外もあるだろう…
そんな期待を抱いて登場した旅客は少なくない。現に、私もその一人だったし、予約してないので「今回だけですよ」と特別に用意してもらっている人もいたし、用意ができなかったためトレー上のお肉が使われていない前菜やフルーツを食べて長距離路線を凌いでいる人もいた。

Beef と Chickenの二択は完全に嗜好の話である一方で、Meat or Vegetarian mealの二択はいわばその人自身のライフスタイルの話である
後者は、機内食の数には限りがあるためどうしても「お肉が食べられなくて残念だ」という旅客が出てきてしまうだろうが、
前者は「食べられるものがない」というベジタリアン旅客が出てくるのだ。

どちらが深刻であるかは一目瞭然。

もちろん機内食を楽しみにしている旅客も多い。だが、牛肉だからと言って美味しいと決まっているだろうか?
お肉を使わない美味な料理は数えきれないほどあるし、大豆などをお肉に似せて加工したソイミートだって日本の大手食品会社が販売している。
機内でお肉の食事しか用意していないのは、世界のトレンドから遅れており、マイノリティーや地球環境への配慮に欠けた対応であり、変化を望まないという怠慢ではないか。
機体の軽量化やバイオエンジンの開発を進めることは非常に重要だが、機内食に牛肉を毎年使用していることで排出している温室効果ガスは一体どれほどなのかも考えるべきだ。

近い将来、どの飛行機に乗っても「Chicken or Vegetarian meal(しかもハラール対応)?」とCAに聞かれることが当然になり、機内食の時間になると「一体私に食べられるものがあるかしら」とハラハラする旅客がいなくなるようにと祈りを込め、「お客様の声」に問い合わせてみようか。

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