弱者はさらなる弱者を傷つける
いくら男女平等が叫ばれ女性が社会進出しようと、女性は力では弱い。
世の中の性犯罪の被害者は女性が多いし、DVの被害者だって女性が多い(男性はそうした被害にあっても声をあげづらいという問題もあるが)。無差別殺人事件でも力の弱い女性が犠牲になったりする。
さらに子供が被害者になる場合は、親による虐待とか、抵抗されないためにあえて子供を対象にしたりする。
子供同士の問題であれば、学校内のカーストで、強い者が弱い者を苦しめる。
いじめはよくないとわかっていても、自分より弱い者を見つけて痛めつける。
良くないことだとわかっているはずなのにやめられない。中毒かのように弱い者を探してしまう。
自分の弱さを受け入れなければならない
私はうつ病になり休職し、復職後は時短勤務を1年ほど続けたが退職し、今は障害者雇用で働いている。この数年はショックの連続だった。
うつ病と言われたのもショックだし、時短勤務で生活保護並みの給料になったこともショックだった。障害者手帳の所持を開示するので、何とか生活できるだけの給与を出してくれないかと会社に交渉したものの、「平等ではない。障害者だからと言って優遇できない。障害者は自立を求めていない」と言われ、世の差別意識に愕然として、突発的に会社を辞めた。役所に行ったら生活保護を勧められた。役所の人は基本、生活保護を取らせたがらないと思っていたので、自分の置かれた状況の悪さを突き付けられたようで、泣いた。
障害者枠で転職活動をしながら、もう普通に働いて、安定して暮らしていくことができない気がした。バリキャリに憧れていただけに辛かった。
障害者はバス乗車時に手帳を提示すると半額になる(バス会社によると思うけど)。
私は手帳を取った後も、その制度を使うのが怖かった。
「自分は障害者です」と人前で認めることが怖かった。
自分が支援される側の人間だと認めたくなかった。
ひとりで生きていける人間だと思っていたかった。
私は社会的弱者です。
私は福祉に頼る人間です。
私は普通に働くことができません。
人並みに税金を払うこともできず、むしろ社会保障で生きています。
あーーーあ。こんなの、見る人が見たら、ゴミじゃん。社会のお荷物じゃん。なりたくてなったわけじゃないのに。
社会を恨んだ凶悪殺人犯の気持ちもわかるよ。なりたくてなったわけじゃない運命で、先も見えなくて、助けてほしくて、ずっと苦しくて、普通にもなれないし、人に下に見られて、同情されて、みじめなまま生きていく。
自分は弱いって認めるのはすごく痛い。痛い。この底辺みたいな生活を、他人の目を受け入れなければならない。
みんなが上に見える。
私だけが下にいて、みんなが見下ろしている。
大変そうだねって同情して、何もしない。
みんなが私をかわいそうな人と思って、「あの子より自分はマシ」みたいな空気感がある。
本当にそう思っているかどうかはわからない。
でも、無意識の差別みたいなのを感じて、すごく気持ち悪い。
社会のことを何も知らないくせに、なんでのうのうと生きているの?何の知識もないくせに、どうして人を下に見るの?差別意識をひけらかして恥ずかしくないの?
何気ない一言が、間合いが、私を劣る人間だと言っている気がして、誰にも優しくなれない。
自分が正しい証拠を、優れている証拠を集めたくなる。
多分私は、尊重されたいんだと思う。
尊厳を失ったから。
すごく醜い欲望だと思う。
自分の弱さを受け入れられなくて、弱さからずっと逃げている。
かわいそうな人だと思われたくなくて、相手がかわいそうである理由を探してしまう。自分が強くなれる場所を醜く探している。
弱さを受け入れたら強くなれるんだろうか。
半額でバスに乗る。
私も半額になった気がしている。
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鞍馬欄子(くらまらんこ)
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