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産地のトレーサビリティを考える / 九州ちくごの作り手②角田製茶

みなさんは、スーパーで野菜やお肉を買うとき、どこの産地のものか気にするタイプですか?私は近所のスーパーで、生産者さんの名前が入って売られている「地元の野菜」コーナーが結構好きで、いろんな想像をします。

生真面目そうだなとか大雑把そうだなとか、商売っ気ありそうだなとか、何歳くらいの人なのかなとか、全く的外れかもしれませんが、考えるのは楽しいです。そして向こう側にも人間がいる、という感覚が得られるのは、安心できるような気持ちにもなります。

もちろん実際には、偽装しているかしていないかも、どれくらい農薬を使っているのかも分からないのですが、それでももし何かあれば生産者まで辿っていけることはできるわけです。

こうした「トレーサビリティ」といわれる、産地・素材・工程・流通経路などの追跡可能性は、食においてもモノにおいても大切ではないかと考えています。それは消費者の安全を守るためだけではなく、産地と生産者を守り、価値を高めていくことにもつながると思っているからです。

「うなぎの寝床」が地元に根付いてアンテナショップをしているのメリットの一つは、気になったら作り手のところにすぐ行ける、というところでもあります。電話でもメールでも聞けるけれど、実際に現場に見にいくと、そんな単純な話じゃなかったり、作り手と一緒に考えるべき課題が見つかったり、新たな発見は必ずあるものです。

今回の「九州ちくごものづくり文化祭」も、そんな現場感覚の発見を、トレーサビリティを自分の目で確かめていく体験を、断片的にでも多くの方にしていただけたら、という思いで企画しています。

山を開いて育てる、自園自製のお茶づくり。

参加してくださる12件の作り手を紹介していくこのコーナー、今日は福岡県八女市上陽町で茶葉から商品まで一貫で生産している「角田製茶」さんをご紹介します。

全国的に玉露などで知られる「八女茶」。初めて飲むと「甘い」という感想を持つ人が多いです。もちろんそれは砂糖のような甘さではなく、口の中にトロンと旨味や甘みが残るような感覚です。

こうした特徴的な「甘み」が生まれる理由は八女の地質と地形にあります。八女は、お茶の栽培に適した「霧」が発生しやすい土地柄でもあり、適度に太陽光を遮断するため、茶の旨み成分であるアミノ酸類が生成されやすくなるのだそうです。

特に角田製茶が茶葉の栽培を行っている上陽町は、奥八女ともいわれる山間部で、寒暖差が大きいために特に霧が発生しやすい気候の中にあります。この霧が天然のベールの役割を果たすことで、自然とかぶせ茶のような甘いお茶ができるのです。

ちょうど私たちが伺った4月下旬は、新茶作りの真っ最中の時期。1年に数ヶ月しか稼働していない、荒茶製造(生の茶葉からお茶にする最初の加工)の現場を見ることができました。

収穫したての茶葉は、まだ野菜と同じような生の葉っぱ。(とーってもざっくり言うと)これを蒸して、揉んで、乾燥させると、荒茶ができあがります。蒸されたばかりの茶葉はほうれん草を茹でた時のようないい匂い。適度な湿り気・粘り気がないと美味しいお茶にはならないのだそうです。

代表の角田龍也さんは、1972年生まれの八女市上陽町出身。実家の茶作りは続けたいという思いがあったそうで、高校卒業後に静岡の国内茶葉試験場で2年間学び帰郷。

当時は日本茶の消費量が落ち厳しくなっていった時代で、小規模の茶農家さんがどんどん減っていく中、逆に続けて行くためには、農地と工場の設備投資が必要でした。山を開いて茶畑を作り、工場でも効率の良く品質の良いお茶を作れる機械を充実させていかなければなりません。

とはいえ、何よりも緑茶の需要が増えなければ、農家も茶商も続けて行くことはできません。実際、毎年茶葉の入札価格は落ちていってます。お茶の品質を維持するためにはどんな努力が必要なのか、お茶の適切な価格とはなんなのか、私たち自身も考えてみないといけないのかもしれません。

今回、角田製茶さんのワークショップではそんなお茶づくりの現場の課題も含め、角田さんの思いなどもお聞きしますが、まずは何よりも、八女茶の「甘さ」を体感していただきたい!!と思っています。

なんだかめんどくさい、と思いがちなお茶でしが、時間がない人でも実践できる「時短な淹れ方講座」をしていただきますので、日本茶を身近なものにしたいと思っている方、お茶の品質の良し悪しの判断基準が知りたい方、食やモノのトレーサビリティに関心のある方、ぜひご参加いただければと思います。

「角田製茶直伝!八女茶の製法と、時短で美味しい淹れ方講座」
甘みのあるお茶として知られる八女茶。その中でも山間部に位置する奥八女地域は、霧が深く寒暖差があるため、より旨味のあるお茶になると言われています。そんな八女市上陽町で栽培から最後の仕上げまで自園自製のお茶づくりを行なっている角田製茶さんには、お茶栽培においての土づくり、摘んだ茶葉がお茶にになるまでの蒸し・乾燥・ブレンドまでの工程をたっぷり伺います。そして丁寧で美味しいお茶の淹れ方はもちろんのこと、「朝時間がない!」という時でも美味しくお茶が飲める、秘密の淹れ方も教えていただきます!

① 5月25日(金) 10:00-11:00 @旧寺崎邸
② 5月25日(金) 14:00-15:00 @旧寺崎邸
③ 5月26日(土) 16:00-17:00@旧寺崎邸
– 内容  八女茶の製法のお話+お茶の淹れ方講座+八女茶試飲
– 参加費 1,500円 / 募集人数 最大10名(最低催行人数 5名)

お申込み方法:
WEBフォーム
② メール / u-info@unagino-nedoko.net
③ TEL / 0943-24-8021(旧寺崎邸)
企画:株式会社うなぎの寝床

Photo credit: 藤本幸一郎 / http://www.koichirofujimoto.com

Design: 米村知倫 / http://yone.in


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