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胃腸炎でもたのしかった

水曜日からおなかの調子がわるくて、日曜日にたべた鳥刺しかなあ、なんて思ってた。

金曜日には熱がでて、あたまも痛いしお腹もぎゅるぎゅる。嘔吐はなかったから幸いだった。

でもひとり暮らしの発熱って何回経験してもたいへん。歩いて3分ほどのコンビニへ行くのも億劫で、ウーバーイーツを見たら『おかゆ専門店』なるものがあった。でもおかゆに1000円以上かける?貧乏性だから歩いてコンビニへ行った。

食欲はあったから食べたいものを買って、お腹が痛くなりながらも食べる。食べても食べてもおなかはスマートなまま。だって、入れたら出るから。(汚くてごめんね)

ほんとうはこの日、実家に帰る予定だった。
子どものいる親友が新居にうつったから、小学校からの親友たちと集まって、たんまり語りあう予定のために。

なんとしてでも行きたい。3人で集まることはめったに無いのに。


1日で熱はさがったから帰ることにした。片道3時間の電車にのる寸前まで爆睡をかまして気合いをいれる。なんたる執念。

無理はするなよ、と言ってくれていた親友たちの元に着いたときには22時をまわっていたけど、わたしの母や親友の母、名前を呼んで抱きついてきた子どもを見たら、来てよかったとおもった。

お酒も飲まず、特段話すこともせず、だらだらと個々で眠りに入る。

会いたいと言って集まっては、時間をともにするだけで終わるのがお決まり。話したいことは山ほどあったはずなのに。

だから体調が優れずとも、一緒にいて大丈夫なのかもしれない。あのふたりは、わたしよりもわたしを知っている。

朝起きて朝ごはんをもらって、子どもにパンチされながら子供番組をみる。うるさくてうるさくて、怪獣が家にいるみたいだった。

ひとりでトイレが出来るようになったなんて知らなかったから、胃腸炎をこの子にだけは移さないように気を遣った。

親友の新居をでて、送ってくれた帰りの車で、小学校の運動会でおどった曲が流れる。担任だった先生の名前を言い合ったりして。

実家に帰ると、仕事の休みをとってくれたお母さんがおまんじゅうをくれた。

わたしがおまんじゅうや大福、どら焼きとか干しいも、渋めのお菓子が好きなことを知ってるのは、身内と親友たちだけ。

休みをとってくれていたお母さん。どこかへ出かけたいだろうなと思って、出かけるか聞いたけど、
まったりでいいでしょ、案外寒いし。とわたしに気を遣ってくれた模様。

お腹がいたかったからありがたかった。やっぱり、あまり元気はなかったから。

ソファに座って、だらだら話して、いつのまにかふたりで昼寝していて

起きたらもう外は暗かった。なにが食べたいか聞かれたから、お肉が食べたいけど消化が悪いからどうだろう、と言うと、それはお腹と相談してくださいと言われたので、悩みつつも焼肉に行こうと提案した。

やっぱりどこかにふたりで出かけておきたいと思ったから。

運転するから飲んでいいよ、と言うと、目をキラキラ輝かせて、娘の運転で飲めるなんてお母さん幸せもの!とニコニコしていた。そんな恥ずかしい台詞をよく言えるな、と思いつつ、最近観てる海外ドラマのような人だなと考えたりもした。

饒舌に喋りながら食べて飲むお母さんと、3回はトイレに立ったわたし。

宝くじでも当たるんじゃない?とケラケラ笑うお母さんに、真剣に納得してしまうわたし。

お会計のとき、若い店員さんとも仲良くなってしまうお母さんは、わたしには無いものを持っている。もうお節介おばさんと呼ぶのはやめようと思った。

熱がでて会社を休んでしまった分の処理を家でしているとき、淹れてもらったお茶を飲んでいるとき、しきりに「戻らなければいいのに」と言っていた。

わたしはあなたに憧れているから、まだここには帰れないんだよ、とかをトイレにこもりながら思っていた。(汚くてごめんね)


いまは布団でケータイをいじっている。ほくほくした気持ち。
地元に帰っても、心の底から楽しめないなら帰らなくてもいいかなと迷っていたけど、どうやら充電は満タンになったらしい。

胃腸炎でもたのしかった。
またここから人生を蹴り上げていくんだ。でもこんどは元気に帰ってこよう。



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𝕌𝕞𝕚
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